一階導関数のラプラス変換
📂微分方程式一階導関数のラプラス変換
定理
次の二つの条件を仮定しよう。
- 任意の区間 0≤t≤Aで関数 f(t)が連続であり、1次導関数 f′(t)が部分的に連続であるとする。
- t≥Mのとき ∣f(t)∣≤Keatを満たす実数 aと正の数 K、Mが存在する。
それならば、fの1次導関数のラプラス変換 L{f′(t)}が s>aのときに存在し、その値は以下の通りである。
L{f′(t)}=sL{f(t)}−f(0)
説明
条件を簡単に言い換えると、「f(t)のラプラス変換が存在し、f′(t)が部分的に連続である」となる。
証明
A→∞lim∫0Ae−stf′(t)dtが収束すれば、証明完了である。f′が区間で部分的に連続であるとしたので、k個の不連続点があるとしよう。そして、各不連続点をt1、t2、⋯、tkとしよう。積分を不連続点を基準に分けると以下のようになる。
∫0Ae−stf′(t)dt=∫0t1e−stf′(t)dt+∫t1t2e−stf′(t)dt+⋯+∫tkAe−stf′(t)dt
今、各項を部分積分しよう。定積分項と積分項を別々に整理すると次のようになる。
∫0Ae−stf′(t)dt=[e−stf(t)]0t1+[e−stf(t)]t1t2+⋯+[e−stf(t)]tkA+s[∫0t1e−stf(t)dt+∫t1t2e−stf(t)dt+⋯+∫tkAe−stf(t)dt]
定積分項を計算し、積分項を合わせると次のようになる。
[e−st1f(t1)−e−s0f(0)]+[e−st2f(t2)−e−st1f(t1)]+⋯+[e−sAf(A)−e−stkf(tk)]+s∫0Ae−stf(t)dt=e−sAf(A)−e−s0f(0)+s∫0Ae−stf(t)dt
仮定により、f(t)のラプラス変換が存在するので、
∫0Ae−stf′(t)dt=e−sAf(A)−f(0)+sL{f(t)}
今、A→∞lime−sAf(A)が収束するか確かめれば、f′(t)のラプラス変換が存在することが示される。**仮定2.**により、∣f(A)∣≤KeaAである。 両辺にe−sAを掛ければ、
∣e−sAf(A)∣≤Ke−(s−a)A
再び両辺に極限A→∞limをとるとs>aの時、右辺は0に収束する。従って、左辺も0に収束する。すなわち、
∫0∞e−stf′(t)dt=A→∞lim∫0Ae−stf′(t)dt=A→∞lime−sAf(A)−f(0)+sL{f(t)}=sL{f(t)}−f(0)=sF(s)−f(0)
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参照