因数定理の証明
📂抽象代数因数定理の証明
定理
f(x)∈F[x] としよう。
f(a)=0⟺f(x)=(x−a)q(x)
説明
これは、中学校からずっとやってきた因数分解の存在を保証する定理だ。重要なことは、除算定理や因数定理のような事実は、多項式の度数が有限の時に意味を持つということだ。
証明
(⟹)
除算定理:an=0 と bm=0、そして n>m>0 に対して、F[x] の二つの要素を
f(x)=anxn+⋯+a1x+a0g(x)=bmxm+⋯+b1x+b0
としよう。すると、f(x)=g(x)q(x)+r(x) を満たす q(x),r(x)∈F[x] が唯一存在する。r の度数は m より小さい。
除算定理により、f(x)=(x−a)q(x)+r(x) を満たす q(x),r(x)∈F[x] が唯一存在する。(x−a)1 の度数は 1 なので、r(x) の度数は 0、つまり、ある定数 c に対して r(x)=c である。それならば
f(x)=(x−a)q(x)+c
に x=a を代入すると
0=f(a)=0q(a)+c=c
よって、f(x)=(x−a)q(x) である。
(⟸)
f(x)=(x−a)q(x)
に x=a を代入すると、f(a)=0q(a)=0 を得る。
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