ジェフリーズ事前分布
📂数理統計学ジェフリーズ事前分布
定義
データの分布p(y∣θ)について、π(θ)∝I1/2(θ)をジェフリーズ事前分布jeffreys priorと言う。
- Iはフィッシャー情報fisher Informationを意味する。
I(θ)=E[(∂θ∂lnp(y∣θ))2θ]=E[−(∂θ)2∂2lnp(y∣θ)θ]
説明
ラプラス事前分布π(θ)∝1は、パラメータθの事前分布としては十分だったが、パラメータの関数としてϕ=θ2のような場合、dϕ=2θdθとなりπ(ϕ)∝ϕ1となるため、θと同じ事前分布ではなくなる。ジェフリーズ事前分布はこの不変性の欠如を克服した事前分布であり、基本的にラプラス事前分布のアップグレード版である。
例
例えば、データが指数分布exp(θ1)に従う場合、ラプラス事前分布π(θ)∝cは不適切な事後分布を引き起こす問題があった。
まず、ジェフリーズ事前分布を求めると、p(y∣θ)=θ1exp(−θy)により
∂θ∂lnp(y∣θ)=−θ1+θ2y
もう一度θに対して偏微分するとp(y∣θ)=θ1exp(−θy)になり
(∂θ)2∂2lnp(y∣θ)=θ21−θ32y
従って
E[−(∂θ)2∂2lnp(y∣θ)θ]=θ32θ−θ21=θ21
となり、ジェフリーズ事前分布π(θ)=θ1を得る。
この事後分布が適切か確認するために、θ=z1と置いて定積分を求めると
∫0∞p(θ∣y)dθ∝∫0∞z2exp(−yz)z21dx=y1<∞
である。したがって、この場合にはジェフリーズ事前分布が適切な事後分布を導いたことが確認できる。