有限次元のノルム空間には基底が存在することの証明
📂バナッハ空間有限次元のノルム空間には基底が存在することの証明
定理
全ての有限次元ノルム空間は基底を持つ。
説明
特定の条件を満たす基底ではなく、基底の存在を明らかにすることに不慣れかもしれないが、実際に基底の定義で全てのベクトル空間が基底を持つとは一度も言っていない。有限次元を定義するにあたっては、別途証明が不要なほど自明な事実でもある。
証明
戦略: 有限次元であることを利用して具体的に基底を構築する。
(X,∣⋅∣) は有限次元なのでspan{x1,…,xn}=X を満たす{x1,…,xn} が存在する。y1:=x1 とする。もしx2∈span{y1} ならx3 を考える。もしx2∈/span{y1} ならy2:=x2 とする。もしx3∈span{y1,y2} ならx4 を考える。もしx3∈/span{y1,y2} ならy3:=x3 とする。このようにM={y1,…,yk} を定義することにより1≤j≤k に対して
yj∈/span{y1,…,yj−1}
M が線形独立でないと仮定すると、あるλj=0たちについて
λ1y1+⋯+λkyk=0
そのようなjたちの中で最も大きいjをj0 とする。
yj0=−λj01j<j0∑λjyj−λj01j>j0∑λjyj=−λj01j<j0∑λjyj
したがってyj0=−λj01j<j0∑λjyj∈span{y1,…,yj0−1}で、これは矛盾である。M⊂{x1,…,xn}は線形独立でありspanM=Xを満たすので、MはXの基底となる。
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証明過程をよく見ると、{x1,…,xn}はかなり余裕を持ってXを生成することがわかる。線形独立になることを妨げるものをすべて捨ててMだけを取り、具体的にそれが基底であることを示したのである。