位相数学における関数空間
定義 1
位相空間 $X$ と $Y$ に対して次のように定義された積空間 $Y^{X}$を関数空間という。 $$ Y^{X} : = \prod_{x \in X} Y = \left\{ f \ | \ f : X \to Y \text{ is a function} \right\} $$
関数空間の位相として次がある:
- $x \in X$ と $Y$ の開集合 $U$ に対して $$ S (x , U) = \left\{ f \in Y^{X} \ | \ f(x) \in U \right\} $$ としよう。部分基底 $\left\{ S(x,U) \ | \ x \in X , U \subset Y \right\}$ によって生成される $Y^{X}$ の位相をポイント-オープン位相という。
- コンパクト集合 $K \subset X$ と $Y$ の開集合 $U$ に対して $$ S (K , U) = \left\{ f \in Y^{X} \ | \ f(K) \subset U \right\} $$ としよう。部分基底 $\left\{ S(K,U) \ | \ K \subset X , U \subset Y \right\}$ によって生成される $Y^{X}$ の位相をコンパクト-オープン位相という。
$(Y,d)$ を距離空間としよう。
- コンパクト集合 $K \subset X$ と $\varepsilon > 0$ に対して $$ B_{K} (f, \epsilon) = \left\{ g \in Y^{X} \ \left| \ \sup_{x \in K} \left\{ d(f(x),g(x)) \right\} < \varepsilon \right. \right\} $$ としよう。基底 $\left\{ B_{K} (f, \varepsilon ) \ | \ K \subset X , \varepsilon > 0 \right\}$ によって生成される $Y^{X}$ の位相をコンパクト収束位相という。
- 一様距離 $$ \overline{ \rho } (f,g) : = \sup_{x \in X} \left\{ \min \left\{ d(f(x) , g(x) ) , 1 \right\} \right\} $$ によって生成される距離空間 $(Y^{X} , \overline{ \rho } )$ の位相を一様位相という。
定理
- [5]: $X$ が離散空間ならば$Y^{X}$ のコンパクト収束位相はポイント-オープン位相と同じである。
- [6]: $X$ がコンパクト空間ならば$Y^{X}$ のコンパクト収束位相はティコノフ位相と同じである。
$\left\{ f_{n} : X \to Y \right\}$ を$Y^{X}$ での数列とし、定義域を$K \subset X$ に限定した関数を$f_{n} |_{K} : K \to Y$ と表すことにしよう。
- [7]: $\left\{ f_{n} \right\}$ が$Y^{X}$ のポイント-オープン位相に属する$f$ に収束する場合、全ての$x \in X$ に対して$ f_{n} (x) $ は$f(x)$ に収束する。
- [8]: $\left\{ f_{n} \right\}$ が$Y^{X}$ のコンパクト収束位相に属する$f$ に収束する場合、全てのコンパクト$K \subset X$ に対して$f_{n} |_{K}$ は$f |_{K}$ に一様に収束する。
定義域が位相空間$X$ で値域が距離空間$Y$ の連続関数の集合を $$ C(X,Y) := \left\{ f \in Y^{X} \ | \ f \text{ is continuous} \right\} $$ とし、$C(X,Y)$ を$Y^{X}$ の部分空間としよう。
- [9]: $C(X,Y)$ のコンパクト-オープン位相とコンパクト収束位相は同じである。
- [10]: $C(X,Y)$ のコンパクト収束位相は$Y$ の距離関数に依存しない。
- [11]: $C(X,Y)$ の数列 $\left\{ f_{n} \right\}$ が$f \in Y^{X}$ に収束すれば$f : X \to Y$ は連続関数である。
説明
特に$C(X, \mathbb{R})$ を$C(X)$ のように示し、特に$X$ が区間の時、すなわち$X=(a,b)$、$X=[a,b]$ の時はそれぞれ$C(a,b)$、$C[a,b]$ とも示される。
1~4
要約すると、ポイント-オープン位相は小さく、一様位相は大きいと言える。
[7], [8]
関数が一様連続であることを示すのに役立てられる。
[10], [11]
一般位相を解析学の一般化と見た時、非常に重要な事実である。
Munkres. (2000). 『トポロジー(第2版)』: p267. ↩︎