熱力学の第二法則
法則
クラウジウス: 自分で冷たい方から熱い方へ熱を送る過程は存在しない。
ケルビン: 熱を完全に仕事に変える過程は存在しない。
解説
ドイツの物理学者クラウジウスとイギリスの物理学者ケルビンの熱力学第二法則に対する声明は互いに等価だ。最も有名なのは、ギリシャの数学者カラテオドリの声明で、「閉じた系の無秩序度は減少しない」というものがある。この言葉は終末論を肯定し、「熱い」「仕事」などの言葉を使わないため、素人に特に人気がある。真剣な考察なしに擬似科学だけを選択的に受け入れた人々が好む概念だ、「シュレーディンガーの猫」のように。この法則に登場する単語をもう少し厳密に定義してみよう。
寒いは相対的に温度が低いことを言う。
熱いは相対的に温度が高いことを言う。
熱を仕事に変えることを過程という。
外部から熱を受け取り過程を行う閉じた系を熱機関という。
熱機関が熱$Q_{h}$を受け取り仕事$W$をしたとする。その時$\eta : = \dfrac{W}{Q_{h}}$を効率という。
蒸気機関や熱気球などが熱機関の例である。効率は「機関に提供されたエネルギーの中で、私が望む仕事に変えられた比率」を示すので、常識的な定義と言えるだろう。
寒い時を青色と$l$、熱い時を赤色と$h$で示し、上のように示すことができる。高い温度でエネルギー$Q_{h}$を受け取り、その一部を仕事で使用した後のエネルギーを残すことである。
クラウジウス: 自分で寒い方から熱い方へ熱を送る過程は存在しない
上の図はクラウジウスの熱力学第二法則を図式化したものである。簡単に言えば、クラウジウスの声明は「熱は必ず高い所から低い所へ流れる」と言える。この法則が間違っていれば、水が下から上へ流れ、突然なかったエネルギーが現れて熱くなることもあり得ただろう。
もちろん、上のように機関が外部から仕事を受け取る場合は話が異なる。「自分で」冷たい方から熱い方へ熱を送った過程ではないため、寒い方から熱い方へ熱が伝わった。これは熱力学第二法則に違反することではなく、「閉じた系」という前提が満たされていなかったために可能なことである。
ケルビン: 熱を完全に仕事に変える過程は存在しない
上の図はケルビンの熱力学第二法則を図式化したものである。簡単に言えば、ケルビンの声明は「損失なし」はあり得ないということだ。この法則が間違っていれば、ガリレオの思考実験は実際の実験だったことになり、永久機関も存在することになるだろう。