アレクサンダー部分基底定理の証明
📂位相幾何学アレクサンダー部分基底定理の証明
定理
Xを位相空間とする。
Xはコンパクトである。Xのすべての開被覆が有限部分被覆を持つようにする、Xのメンバーで構成されたある部分基底 Sが存在する。
説明
コンパクトの重要性は言うまでもない。
この定理はもともとアレクサンダーの先生が基底について証明しようとしたものだった。しかし、基底については証明できず、アレクサンダーが部分基底について完成させたという。
正直に言って、証明は覚えるには長くて複雑だが、かなり独創的で一度は自分でやってみる価値がある。
証明
(⟹)
Sは、Xの位相の部分集合なので自明だ。
(⟸)
パート 1.
Xがコンパクトではないと仮定する。
CをXが有限部分被覆を持たない開被覆の集合とすると、Xがコンパクトではないと仮定したのでC=∅である。全ての開被覆C∈Cの中から、自分自身以外の上位集合がないものだけを選んで新しい集合O:=⋃Cを構成する。このような集合Oを構成できることは選択公理によって保証されている。
- 例えば{{1},{2},{3},{1,3}}であれば、{{2},{1,3}}のように「一部で最も大きい集合」を集めたことになる。
パート 2. 開集合 U1,⋯,Un⊂X に対して i=1⋂nUi⊂O0 を満たす O0∈O が存在する場合、Ui0⊂O を満たす i0 が存在することを示す。
あるO0に対してU1∩U2⊂O0を満たす開集合U1とU2を考える。ここで、
U1∈/OU2∈/O
と仮定する。
Oの定義から、Cの部分的に最も大きい開被覆を集めたものだから、
O∪{U1}∈/CO∪{U2}∈/C
でなければならない。つまりO∪{U1}とO∪{U2}はXを被覆する有限部分被覆を持っているということで、それぞれ
{O1,⋯,Om,U1}⊂O∪{U1}{O1’,⋯,Ol’,U2}⊂O∪{U2}
とすると、
X⊂⊂⊂X∩X((i=1⋃mOi)∪U1)∩((i=1⋃lOi′)∪U2)[(i=1⋃mOi)∩(i=1⋃lOi′)]∪(U1∩U2)
しかしU1∩U2⊂O0としたので{O1,⋯,Om,O1’,⋯,Ol,O0}∈OはXの有限部分被覆である。これはOの定義と矛盾するので、仮定
U1∈/OU2∈/O
は間違っている。したがって、U1∈OまたはU2∈Oでなければならず、i=1⋂nUi⊂O0を満たすO0∈Oが存在すれば、少なくとも1つのi0がUi0⊂Oを満たさなければならない。
パート 3.
OはXの開被覆なので、全てのx∈Xに対してx∈Oxを満たすOx∈Oが存在するはずだ。ここで、SはXの部分基底なので、
x∈i=1⋂mSi⊂Ox
を満たすS1,⋯,Sm∈Sが存在するだろう。パート 2で示したように、x∈Sx∈Oを満たすSxが存在する。すると、{Sx ∣ x∈X}⊂SはXの開被覆になる。Sの全ての開被覆が有限部分被覆を持つと仮定していたので、X=i=1⋃nSxiを満たすx1,⋯,xn∈Xが存在する。しかし、Sxi∈Oであり、Oが有限部分被覆を持たないように定義されていたので、これは矛盾する。したがって、Xはコンパクトである。
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