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群のデカルト積 📂抽象代数

群のデカルト積

定義 1 2

  1. $G_{1} , \cdots , G_{n}$ の直積とその要素 $\displaystyle (a_{1},\cdots , a_{n}), (b_{1} , \cdots , b_{n} ) \in \prod_{i=1}^{n} G_{i}$ について $$ (a_{1},\cdots , a_{n}) (b_{1} , \cdots , b_{n} ) = (a_{1} b_{1},\cdots , a_{n} b_{n}) $$ これを$G_{1} , \cdots , G_{n}$の直積direct Productと言う。
  2. 特に $G_{1}, \cdots , G_{n}$ が可換群の場合、$\displaystyle \bigoplus_{i=1}^{n} G_{i}$ と書き、直和direct Sumとも呼ぶ。
  3. $G_{1}$ が $G$ の部分群だとする時、次を満たす$G$の別の部分群$G_{2}$が存在すれば、$G_{1}$を直和因子direct Summandと呼ぶ。 $$ G = G_{1} \oplus G_{2} $$

性質

$G = G_{1} \oplus G_{2}$ とする。もし$H_{1}$ が $G_{1}$ の部分群で、$H_{2}$ が $G_{2}$ の部分群なら、$H_{1}$ と $H_{2}$ も直和として表せ、特に以下が成り立つ。 $$ {{ G } \over { H_{1} \oplus H_{2} }} \simeq {{ G_{1} } \over { H_{1} }} \oplus {{ G_{2} } \over { H_{2} }} $$

  • [1]: $H_{1} \simeq G_{1}$ で $H_{2} \simeq \left\{ 0 \right\}$ とすると $$ G / G_{1} \simeq G_{2} $$
  • [2]: $H_{1} \simeq \left\{ 0 \right\}$ とすると $$ {{ G } \over { H_{2} }} \simeq G_{1} \oplus {{ G_{2} } \over { H_{2} }} $$

説明

ベクトル空間は加法に関して群だが、はベクトル空間ではないため、線形代数学の直和と完全に一致するわけではないが、比較が何らかの意味を持つためには少なくともくらいにはなっている必要がある。

例えば、クラインの四元群は$V \simeq \mathbb{Z}_{2} \times \mathbb{Z}_{2}$を満たし、$\gcd (m , n) = 1$ の場合、$\mathbb{Z}_{m} \times \mathbb{Z}_{n} \simeq \mathbb{Z}_{mn}$が巡回群であるという定理が知られている。

自由群

記法上は、自由アーベル群については、単に整数環 $\mathbb{Z}$の直和と同型であると表現する方が便利だ。例えば $G$ がランク $3$ の自由アーベル群なら、$G$ は次のようにも表せる。 $$ G \simeq \mathbb{Z} \oplus \mathbb{Z} \oplus \mathbb{Z} $$

参照


  1. Fraleigh. (2003). 「抽象代数入門」(第7版): p104~105. ↩︎

  2. Munkres. (1984). 「代数的トポロジーの要素」: p23~24. ↩︎