スターリングの公式の簡単な導出
📂熱物理学スターリングの公式の簡単な導出
数式
以下の方程式を スターリングの公式stirling's formulaと呼ぶ。
n→∞limenlnn−n2πnn!=1
説明
この近似は、大きな数に対する階乗の計算という観点で便利である。熱力学、統計力学のような分野では多くの数の分子を仮定するために必須であり、
n!log2n!lnn!≈2πn(en)n≈nlog2n−nlog2e≈nlnn−n
というように、さらに簡略化された表現も使用される。以下の証明は解析的にやや厳密性が落ちるが、応用のために事実だけを重要視するならば十分である。
参照
導出
ガンマ関数 n!=∫0∞xne−xdx から始めよう。f(x)=nlnx−x と置けば、次の式が成り立つ。
ef(x)=xne−x
dxdf(x)=xn−1 かつ dx2d2f(x)=−x2n、そして dx3d3f(x)=x32n であるため、f のテイラー展開は次のようになる。
f(x)===f(n)+f′(n)(x−n)+2!1f′′(n)(x−n)2+3!1f(3)(n)(x−n)3+⋯nlnn−n+0⋅(x−n)−21n2n(x−n)2+61n32n(x−n)3+⋯nlnn−n−2n(x−n)2+3n2(x−n)3+⋯
n が十分に大きい場合、2n(x−n)2 以降の項は分母の増加速度が速すぎて無視できる。したがって、以下の結果を得る。
f(x)≈nlnn−n−2n(x−n)2

さらに、n が十分に大きければ、0 から ∞ までのガウス曲線の積分と、−∞ から ∞ までのものに大きな違いはない。結果として、十分に大きな n に対して
n!=enlnn−n∫0∞e−(x−n)2/2n+⋯dx≈enlnn−n∫−∞∞e−(x−n)2/2ndx
ガウスの積分により ∫−∞∞e−(x−n)2/2ndx=2πn が成り立つため、次の式が成立する。
n!≈enlnn−n2πn
両辺に対数を取ると、以下の式を得る。
lnn!≈nlnn−n+21ln2πn
n が非常に大きければ、次の近似式が成り立つ。
lnn!≈nlnn−n
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