理想気体の方程式
式1
気体の分子数を、体積を、圧力を、絶対温度をとする。すると、次の式が成立し、これを理想気体方程式ideal gas equationと呼ぶ。
この時、をボルツマン定数boltzmann constantと呼ぶ。
説明
歴史的に見ると、実験法則から導かれ、後に気体運動論から数式的に導かれた。‘理想気体’方程式と呼ぶ理由は、式を導く過程で以下のような仮定が使われたからである。
- 各分子の間には何の力も働かない。つまり、互いに引き合わない。
- 各分子は大きさのない点粒子である。
現実には、分子は互いに相互作用をし、大きさがあるが、理論の単純さのために上記のように仮定される。地表で相対性理論を考慮せずにニュートン力学だけを使っても多くの現象をよく説明できるように、理想気体方程式も実際の気体をよく説明する。実際の気体は、系の分子量が少なく、温度が高く、圧力が低いほど理想気体に近づく。
理想気体方程式がすべての気体現象を説明するわけではない。相対論的効果を考慮する必要がある時は、相対論的気体モデルを、量子効果を考慮する必要がある時は、量子気体モデルを使用しなければならない。
理想気体方程式の定数を物質量に対して表示するとの形で表すことができる。この時、を気体定数と呼ぶが、熱力学ではほぼ半々で使われる。
導出
一定の温度で、気体の圧力と体積に対して上記のような関係が成立し、これをボイルの法則boyle’s lawと言う。後にボイルとは無関係にエドメ・マリオットedme Mariotteも同じ事実を発見し、ボイル-マリオット法則とも言う。
一定の圧力で、気体の体積と温度に対して上記のような関係が成立し、これをシャルルの法則charles’ lawと言う。
気体の体積が一定の時、温度と圧力に対して上記のような関係が成立し、これをゲイ-リュサックの法則と言う。上の三つの比例式から、次の式を得る。
比例定数をとすると、以下の結果を得る。
Stephen J. Blundell and Katherine M. Blundell, 熱物理学(Concepts in Thermal Physics, イ・ジェウ訳)(第2版、2014年)、p8-10 ↩︎