ラグランジュの定理の証明
定理 1
証明
少し考えれば、常識的に成立するし、証明もそれに相応しく簡単だ。
全ての剰余類は同じ数の元を持つ。もの剰余類の一つであるから、の剰余類の濃度はである。剰余類はの分割を成すので、全ての剰余類の濃度を足すとになる。の剰余類の数を、これをとすると よって、はの約数である。
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系
例えば、素数に対して、は明らかに巡回群である。
反例 2
交代群は、ラグランジュの定理の逆に対する反例である。
ラグランジュの定理の逆が成立すると仮定すれば、であるから、を満たすが存在するだろう。具体的には、は次の3種類、12の巡回群で構成されているため、はそのうちの6つの巡回で構成されている。
さて、がこれらの元とどのような関係にあるか見てみよう…
- は群であるから、恒等元を持たなければならないので、実際には個の巡回を選ぶ必要がある。
- ラグランジュの定理が成立すると仮定すると、濃度がであるも存在しなければならないので、には少なくとも一つのクライン四元を含まなければならない。
- クライン四元は3つしかないので、は少なくとも2つの-巡回を含む必要がある。
- ならば、でなければならない。しかし、 であるため、に-巡回が含まれる場合、偶数個でなければならない。恒等元を含むために、個を持つことはできない。
要するに、は少なくとも一つのクライン四元と少なくとも2つの-巡回を持つ必要があり、特に-巡回は偶数個でなければならないので、可能性は-巡回が2つか4つかのみである。単純にケースを分けて考えよう。
Case 1: -巡回2つ、クライン四元3つ
どの巡回を含むかに関わらず、は全てのクライン四元を持っているので、を得て、したがっては巡回の積に対して閉じていない。Case 2: -巡回4つ、クライン四元1つ
一般性を失わず、の-巡回の一つを、クライン四元をとする。ポイントは、に含まれないがクライン四元には存在することである。 したがって、は正確に-巡回を持たなければならない。しかし、 したがって、やはりは巡回の積に対して閉じていない。
ラグランジュの定理の逆が成立しないことを示す反例として、が群になり得ないことを確認した。
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Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p100. ↩︎
https://www.mathcounterexamples.net/converse-of-lagrange-theorem-does-not-hold/ ↩︎