位相空間における最大値最小値定理の証明
定理 1
コンパクト空間$X$に対し、関数$f : X \to \mathbb{R}$が連続であれば、全ての$x \in X$に対して$f(c) \le f(x) \le f(d)$を満たす$c,d \in X$が存在する。
説明
$\mathbb{R}$では、コンパクトとは閉区間$[a,b]$であることと同値であるため、結局これは高校や解析学で習う定理の一般化である。トポロジーの難しい理論を使うだけあって、証明はむしろ簡単である。
証明
コンパクト空間に関する補助定理:$f : X \to Y$として、$X$がコンパクトで、$f$が連続であるとする。
- [2]: $Y$がハウスドルフであれば、$f$は閉じた関数である。閉集合$C \subset X$に対して、$f(C) \subset Y$は閉集合である。
$f(X)$はコンパクトであるため、開被覆$\mathcal{O} := \left\{ (-n,n) \ | \ n \in \mathbb{N} \right\}$に対して、 $$ f(X) \subset \bigcup_{n=1}^{m} (-n , n) \subset \mathcal{O} $$ を満たす$m$が存在する。補助定理1により、$f(X)$は有界であり、$\mathbb{R}$はハウスドルフ空間であるため、補助定理[2]により全体集合$X \subset X$のイメージ$f(X)$は$\mathbb{R}$で閉集合である。$f(X)$が有界であるため、完備性公理により、 $$ u := \sup f(X) \\ l : = \inf f(X) $$ が存在する。$f(X)$が閉集合であるため、 $$ u, l \in f(X) \\ f(c) = l \\ f(d) = u $$ を満たすある$c,d \in X$が存在しなければならない。この$c,d$は全ての$x \in X$に対して$f(c) \le f(x) \le f(d)$を満たす。
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参照
Munkres. (2000). Topology(2nd Edition): p174. ↩︎