ベルヌーイ微分方程式の解法
定義
下の1階非線形微分方程式をベルヌーイ方程式Bernoulli equationと呼ぶ。
$$ y^\prime + p(x)y = q(x)y^n $$
この時、$n$は$2$以上の整数で、$n=0,\ 1$の時は線形方程式だ。
説明
ちなみに、ベルヌーイ微分方程式のベルヌーイと、よく知られている流体力学のベルヌーイの原理のベルヌーイは別人だ。ベルヌーイ家は数学、科学に優れた人が多かった家系だから、ベルヌーイの名前がついた公式や定理が多い。もっと詳細が知りたければ、ここを参照するといい。
ベルヌーイ微分方程式は非線形微分方程式だ。非線形方程式を解くのは非常に難しく、少しトリックが必要だ。ベルヌーイ微分方程式を解くトリックは、非線形の式を線形に変換するために置換を利用することだ。
解法
ステップ 1.
私たちが探している解 $y$は $y \ne 0$と等しいから、微分方程式の両辺を $y^n$で割ると
$$ y^{-n}y^\prime + py^{1-n}=q $$
ステップ 2.
$u \equiv y^{1-n}$と置換しよう。すると
$$ \dfrac{du}{dx}=(1-n)y^{-n}\dfrac{dy}{dx} \\ \implies \dfrac{1}{1-n}\dfrac{du}{dx}=y^{-n}\dfrac{dy}{dx} $$
与えられた微分方程式に代入すると
$$ \begin{align*} && \dfrac{1}{1-n}\dfrac{du}{dx} + pu=q \\ \implies && u^\prime + (1-n)pu=(1-n)q \end{align*} $$
ステップ 3.
これは、与えられた微分方程式が1階線形微分方程式になったので、$u$の一般解を求める。その後、$u=y^{1-n}$を代入すると、最終的に$y$の一般解を求めることができる。
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例題
微分方程式 $y^\prime = Py-Qy^2$を解け。
与えられた微分方程式は、$n=2$の場合のベルヌーイ微分方程式だ。両辺に$-y^{-2}$を掛けて整理すると
$$ -y^{-2} y^\prime +Py^{-1} = Q $$
微分方程式を解くために、$u=y^{1-n}=y^{-1}$で置換すると
$$ \dfrac{du}{dx}=-y^{-2}\dfrac{dy}{dx} $$
微分方程式に代入すると、下の式が得られる。
$$ \dfrac{du}{dx}+Pu=Q $$
1階微分方程式の解法で$u$を求めると
$$ \begin{align*} u&=e^{-\int Pdx} \left[ \displaystyle \int e^{\int P dx}Q dx+ C \right] \\ &= e^{-Px} \left[ \int e^{Px}Qdx +C\right] \\ &= e^{-Px}\dfrac{Q}{P}e^{Px} + Ce^{-Px} \\ &=\dfrac{Q}{P}+Ce^{-Px} \end{align*} $$
$u=y^{-1}$だから、最終的に$y$を求めると
$$ y=u^{-1}=\dfrac{1}{\frac{Q}{P}+Ce^{-Px}} $$
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