コンパクトなハウスドルフ空間は正則空間である
定理 1
- [3]: ハウスドルフ空間$X$の二つのコンパクト部分集合$A,B \subset X$が$A \cap B = \emptyset$である場合、以下を満たす開集合$U, V \subset X$が存在する。 $$ A \subset U \\ B \subset V \\ U \cap V = \emptyset $$
解説
定理1と2から、ハウスドルフ空間のコンパクト部分集合は閉集合であることがすぐにわかる。一方、定理4で、コンパクトであることは$T_{4} \implies T_{2}$の逆を成立させるための追加条件であることがわかる。
証明
1
コンパクト空間$X$に対して、$A \subset X$が$X$で閉集合であり、$\mathscr{O}$を$A$の開被覆としよう。
$A$は閉集合なので、$\mathscr{O}’ : = \mathscr{O} \cup \left\{ X \setminus A \right\}$も$X$の開被覆である。$X$はコンパクトなので、 $$ A \subset X \subset \bigcup_{i=1}^{n} O_{i} $$ を満たす有限の開被覆$\left\{ O_{i} \right\}_{i=1}^{n}$が存在する。したがって、$A$はコンパクトである。
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2
ハウスドルフ空間$X$において、$A \subset X$がコンパクトであり、$x \in X \setminus A$とする。
$X$はハウスドルフ空間なので、すべての$y \in A$に対して、以下を満たす開集合$U_{y}, V_{y} \subset X$が存在する。 $$ y \in U_{y} \\ x \in V_{y} \\ U_{y} \cap V_{y} = \emptyset $$ コンパクト部分集合は$A$に対して、ある$n \in \mathbb{N}$に対して、 $$ A \subset \bigcup_{i=1}^{n} U_{y_{i}} $$ を満たす$\left\{ y_{i} \right\}_{i=1}^{n}$が存在する。集合$U, V$を $$ U := \bigcup_{i=1}^{n} U_{y_{i}} \\ \displaystyle V := \bigcap_{i=1}^{n} V_{y_{i}} $$ のように定義すると、$U,V \subset X$は開集合であり、$U \cap V = \emptyset$である。一方で、$x \in V$および$A \subset U$なので、 $$ x \in V \subset (X \setminus U) \subset (X \setminus A) $$ したがって、すべての開集合$V \subset \left( X \setminus A \right)$の和集合$\displaystyle \bigcup_{V \subset (X \setminus A)} V = X \setminus A$は開集合であり、$A$は閉集合である。
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[3]
ハウスドルフ空間$X$に対して、コンパクト部分集合$A,B \subset X$が$A \cap B = \emptyset$であるとする。
すると$x \in B$に対して、 $$ A \subset U_{x} \\ x \in V_{x} \\ U_{x} \cap V_{x} = \emptyset $$ を満たす開集合$U_{x}, V_{x} \subset X$が存在する。また、$B$はコンパクトなので、$\displaystyle B \subset \bigcup_{i=1}^{n} V_{x_{i}}$を満たす$\left\{ x_{i} \right\}_{i=1}^{n}$が存在する。集合$U, V$を $$ U := \bigcap_{i=1}^{n} U_{x_{i}} \\ \displaystyle V := \bigcup_{i=1}^{n} V_{x_{i}} $$ のように定義すると、開集合$U, V$は以下を満たす。 $$ U \cap V = \emptyset \\ A \subset U \\ B \subset V $$
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4
コンパクトハウスドルフ空間$X$に対して、$A,B \subset X$が$X$の部分集合であり、$A \cap B = \emptyset$であるとする。
$X$はコンパクト空間なので、$A,B \subset X$はコンパクト部分集合であり、定理2によれば$A,B$は$X$の閉部分集合である。また、$X$はハウスドルフ空間なので、定理[3]によれば、コンパクト部分集合$A,B \subset X$に対して $$ A \subset U \\ B \subset V \\ U \cap V = \emptyset $$ を満たす開集合$U,V \subset X$が存在する。したがって、$X$は正則空間である。
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帰結
コンパクトハウスドルフ空間$X$に対して、$A \subset X$が$X$で閉集合であることとコンパクトであることは同値である。
Munkres. (2000). Topology(2nd Edition): p165~167, 202. ↩︎