ソックス-シューズの性質: abの逆元はbの逆元とaの逆元の積と等しい
定理 1
任意の群 $G$の元 $a,b$に対して、$(ab)^{-1}=b^{-1}a^{-1}$である。
証明
$(ab)^{-1}$は $ab$の逆元だから、 $$ ab(ab)^{-1}=e $$ 両辺に $a^{-1}$を掛けると、 $$ b(ab)^{-1}=a^{-1}e=a^{-1} $$ そして、両辺に$b^{-1}$を掛けると、 $$ (ab)^{-1}=b^{-1}a^{-1} $$
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説明
この定理は、靴下-靴の性質Socks Shoes Propertyと呼ばれており、式を靴下を履いてから靴を履く過程にたとえたものである。靴下を履くことを $a$、靴を履くことを $b$とし、素足を $e$とすると、靴下と靴を順に履いてから再び素足に戻るためには、**「最初に靴を脱がなければならない」**ことになる。数学的には、次のように表現される。 $$ (ab)^{-1}=b^{-1}a^{-1} $$
Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p42. ↩︎