有限交差性質
📂位相幾何学有限交差性質
定義
位相空間 をXとし、A⊂P(X)とする。全ての有限の部分集合 A⊂A に対して、⋂A=∅ ならば A が 有限交差性質finite Intersection Propertyを持つという。
説明
A が f.i.p. を持つということは、開集合 Uα⊂A に対して常に以下が成立することと同じである。
i=1⋂n(X∖Ui)=∅⟹α∈∀⋂(X∖Uα)=∅
この性質は位相空間ではなく、一般的な集合に関する性質であることに注意しよう。例えば、{[0,n1] n∈N} は、位相を指定しなくても、ただ f.i.p. を持っていると言える。
以下の定理はコンパクトの必要十分条件を語っており有用だが、記述することが冗長であり証明も非常に理解しづらい。自己嫌悪になっても、コンパクトが本来難しいので、そう思っておこう。
定理
Xがコンパクトである必要十分条件は、閉じた全てのAα⊂Xに対してα∈∀⋂Aα=∅が成立することである。
証明
開集合 Oα と閉集合 Cα に対して、以下が成立する。
X∖(⋂Cα)=⋃(X∖Cα)=⋃Oα
(⟹)
C:={Cα ∣ α∈∀}がXの閉集合を要素に持ち、f.i.p.を持つとすると、O:={Oα=X∖Cα ∣ α∈∀}はXの開集合を要素に持つ集合になる。
α∈∀⋂Cα=∅ と仮定すると
α∈∀⋃(X∖Cα)=X∖(α∈∀⋂Cα)=X∖∅=X
従って、X⊂O、即ち O はXの開カバーとなる。X はコンパクトであるため、X=i=1⋃n(X∖Ci) を満たす有限の開カバー O′={X∖Ci ∣ i=1,2,⋯,n} が存在する。一方
X=i=1⋃n(X∖Ci)=X∖i=1⋂nCi
だから、i=1⋂nCi=∅ である。これはCが f.i.p. を持っているという前提に矛盾するので、α∈∀⋂Cα=∅ でなければならない。
(⟸)
O:={Oα ∣ α∈∀} をXの開カバーとすると、C:={X∖Oα ∣ α∈∀} はXの閉集合を要素に持つ集合となる。
一方
α∈∀⋂Cα=α∈∀⋂(X∖Oα)=X∖α∈∀⋃Oα=X∖X=∅
従って、f.i.p. を持たず、i=1⋂nCi=∅ を満たすC′={Ci ∣ i=1,2,⋯,n}が存在する。そして、
X∖i=1⋃nOi=X∖i=1⋃n(X∖Ci)=X∖(X∖i=1⋂nCi)=i=1⋂nCi=∅
従って、X⊂i=1⋃nOiである。つまり、有限の部分カバー {O1,O2,⋯,On} が存在して、X はコンパクトになる。
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