連結空間の部分空間の性質들
📂位相幾何学連結空間の部分空間の性質들
要旨
位相空間 X についてY⊂Xとしよう。
- [1]: Y が連結空間ならば、Yも連結空間である。
- [2]: Y が非連結空間であることと、
U∩Y=∅V∩Y=∅U∩V∩Y=∅Y⊂U∪V
を満たすXの開集合UとVが存在することは等価である。
- [3]: Xの連結部分空間の集合{Aα ∣ α∈∀}に対して、
α∈∀⋂Aα=∅
であれば、α∈∀⋃Aαは連結空間である。
- [4]: Xの連結部分空間の数列{An ∣ n∈N}に対して、
An∩(i=1⋃n−1Ai)=∅
であれば、n=1⋃∞Anは連結空間である。
説明
[2]
長くて想像するのも難しいので、図示するのがいい。

ここで、Y=Y1∪Y2。位相数学をどれだけ勉強したとしても、部分集合だと言われただけでこのような離れた形を想像するのは簡単ではない。テキストで覚えるよりも、非連結の定義自体を事実として受け入れるようにしよう。
[3]
α∈∀⋂Aα=∅という条件は、少なくとも1点が全てを連結していることを意味する。布をいくつか釘で貫いて壁に固定するイメージを思い浮かべるといいだろう。
[4]
An∩(i=1⋃n−1Ai)=∅という条件は、部分空間がいくつかの段階を経ても連結されていることを意味する。全てのリンクが連結されているわけではないが、全体的には繋がっているイメージを思い浮かべるといい。定理[3]で与えられた集合が可算集合に制限された代わりに、集合自体の条件が緩和されたものと受け取ればいい。
ちなみに、定理[3]と[4]は、「連結」を「道連結」に変えても問題なく成立する。
証明
[1]
Yが非連結空間だと仮定しよう。
Xが非連結空間ならば、離散空間{a,b}に対して全射連続関数f:X→{a,b}が存在する。
すると、全射かつ連続な関数f:Y→{a,b}が存在する。この関数の定義域をYに限定したf∣Y:Y→{a,b}を考える。
連結空間Xに対して、f:X→Yが全射連続関数ならば、Yは連結空間である。
離散空間{a,b}は連結空間ではないので、対偶法により、Yが非連結空間であるか、f∣Yが全射ではないか、連続ではないかのいずれかでなければならない。しかし、前提でYは連結空間であり、f∣Yは依然として連続であるため、f∣Yは全射ではないはずである。
[fが連続ならば、全てのA⊂Xに対して、f(A)⊂f(A)](../432)
つまり、f(Y)={a}かf(Y)={b}で、fが連続であるため、f(Y)⊂f(Y)={a,b}である。これはfが全射であることに矛盾するため、Yは連結空間でなければならない。
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一方で、以下の有用な系を得ることができる。
位相空間Xの部分空間Yが連結空間ならば、Y⊂Z⊂Yを満たすZは連結空間である。
[2]
(⇒)
Yは非連結空間であるため、A∩B=∅とA∪B=Yを満たすYの非空の開集合A,Bが存在する。AとBが開集合であるため、
U∩Y=AV∩Y=B
Xの開集合U,Vが存在する。したがって、
U∩Y=∅V∩Y=∅U∩V∩Y=(U∩Y)∩(V∩Y)=A∩B=∅
一方、Y=A∪B⊂U∪Vである。
(⇐)
U∩Y=∅V∩Y=∅U∩V∩Y=∅Y⊂U∪V
を満たすXの開集合UとVが存在するとする。
A:=U∩YB:=V∩Y
とすると、A,BはYの非空の開集合である。一方、
A∩B=(U∩Y)∩(V∩Y)=U∩V∩Y=∅A∪B=(U∩Y)∪(V∩Y)=(U∪V)∩Y=Y
したがって、Yは非連結空間である。
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[3]
α∈∀⋂Aα=∅とするとき、Y=α∈∀⋃Aαが非連結空間であると仮定してみよう。定理[2]により、
U∩Y=∅V∩Y=∅U∩V∩Y=∅Y⊂U∪V
Xの開集合UとVが存在する。すると、
(U∩Aα)∪(V∩Aα)=(U∪V)∩Aα=Aα(U∩Aα)∩(V∩Aα)=(U∩V)∩Aα=∅
しかし、Aαは連結空間であると仮定されているため、(U∩Aα)または(V∩Aα)のいずれかは空集合でなければならない。UでもVでも構わないので、ただ(V∩Aα)=∅としよう。任意のAαに対して(V∩Aα)=∅であるため、
V∩α∈∀⋂Aα=∅
分かりやすく言えば、V∩Y=∅で、これは仮定に矛盾する。
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[4]
自然数に対してn≤2としよう。
A1は連結空間であるため、B2も連結空間であり、数学的帰納法により、Bnは連結空間である。
∅=A2∩A1⊂A1⊂Bn−1⊂Bn
したがって、
n=2⋂∞Bn=∅
定理[3]により、n=1⋃∞An=n=2⋃∞Bnは連結空間である。
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