角運動量演算子の行列表現
📂量子力学角運動量演算子の行列表現
公式
角運動量演算子の行列表示は次の通りだ。ℓ=1のとき、m=1,0,−1だ。
Lz=m=1ℏ100m=0000m=−100−1m=1m=0m=−1
Lx=m=12ℏ010m=0101m=−1010m=1m=0m=−1
Ly=m=12ℏ0−i0m=0i0−im=−10i0m=1m=0m=−1
角運動量のラダー演算子の行列表示は次の通りだ。ℓ=1のとき、m=1,0,−1だ。
L+=m=1000m=0200m=−1020m=1m=0m=−1
L−=m=1020m=0002m=−1000m=1m=0m=−1
証明
ラダー演算子
L+∣ℓ,m⟩L−∣ℓ,m⟩=(ℓ−m)(ℓ+m+1)ℏ∣ℓ,m+1⟩=(ℓ+m)(ℓ−m+1)ℏ∣ℓ,m−1⟩
2つのラダー演算子が上記の式を満たすので、L+について次の式を得る。
⟨ℓ,m′∣L+∣ℓ,m⟩=(ℓ−m)(ℓ+m+1)ℏ⟨ℓ,m′∣ℓ,m+1⟩=(ℓ−m)(ℓ+m+1)ℏδm′,m+1
このとき、δはクロネッカーのデルタだ。同じ方法で、L−について次の式を得る。
⟨ℓ,m′∣L−∣ℓ,m⟩=(ℓ+m)(ℓ−m+1)ℏ⟨ℓ,m′∣ℓ,m−1⟩=(ℓ+m)(ℓ−m+1)ℏδm′,m−1
ℓ=1のとき可能なmは1,0,−1なので、便宜上、L±の行と列の順序を1,0,−1としよう。すると、固有関数の座標ベクトルは次の通りだ。
∣1,1⟩=100,∣1,0⟩=010,∣1,−1⟩=001
すると、数式L+∣ℓ,m⟩=(ℓ−m)(ℓ+m+1)ℏ∣ℓ,m+1⟩で固有関数の状態が直感的に次のように上昇する。ℓ=1とすれば、
L+001=2ℏ010L+010=2ℏ100
行列L+は次のようになる。
L+=⟨1,1∣L+∣1,1⟩⟨1,0∣L+∣1,1⟩⟨1,−1∣L+∣1,1⟩⟨1,1∣L+∣1,0⟩⟨1,0∣L+∣1,0⟩⟨1,−1∣L+∣1,0⟩⟨1,1∣L+∣1,−1⟩⟨1,0∣L+∣1,−1⟩⟨1,−1∣L+∣1,−1⟩=0ℏδ1,20ℏδ0,20ℏδ1,22ℏδ1,12ℏδ0,12ℏδ−1,12ℏδ1,02ℏδ0,02ℏδ−1,0=ℏ000200020
同様に、L−について次のようになる。
L−100=2ℏ010L−010=2ℏ001
L−=ℏ020002000
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角運動量演算子
LzとL2の同時固有関数は∣ℓ,m⟩であり、固有値方程式は
Lz∣ℓ,m⟩L2∣ℓ,m⟩=mℏ∣ℓ,m⟩=ℓ(ℓ+1)ℏ2∣ℓ,m⟩
なので
⟨ℓ,m′∣Lz∣ℓ,m⟩=mℏ⟨ℓ,m′∣ℓ,m⟩=mℏδmm′
したがって、[(Lz)mn]=mℏδmnだ。このときδはクロネッカーのデルタだ。ℓ=1のとき可能なmは1,0,−1なので、便宜上Lzが1行、0行、−1行を持つこととしよう。各固有関数の座標ベクトルは次の通りとしよう。
∣1,1⟩=100,∣1,0⟩=010,∣1,−1⟩=001
すると、[(Lz)mn]=mℏδmnなので、
Lz=(Lz)11(Lz)01(Lz)−11(Lz)10(Lz)00(Lz)−10(Lz)1−1(Lz)0−1(Lz)−1−1=1ℏδ1,10ℏδ0,1−1ℏδ−1,11ℏδ1,00ℏδ0,0−1ℏδ−1,01ℏδ1,−10ℏδ0,−1−1ℏδ−1,−1=ℏ10000000−1
またLx=21(L++L−)であるので、Ly=−2i(L+−L−)よって、LxとLyは次の通りだ。
Lx=21(L++L−)=21ℏ000200020+ℏ020002000=2ℏ010101010
Ly=−2i(L+−L−)=−2iℏ000200020−ℏ020002000=2ℏ0i0−i0i0−i0