抽象代数学における軌道、巡回、置換
📂抽象代数抽象代数学における軌道、巡回、置換
定義
- ∼の同値類をσの軌道orbitという。
- 二つ以上の元を持つ軌道を高々一つだけ持つ順列を循環cycleという。
- 循環が持つ軌道の中で最も基数が大きい軌道の基数を循環の長さlengthという。
- 長さが2の循環を転置transpositionという。
- 循環に対応する軌道が元を共有しない場合、互いに素disjointという。
説明
定義だけでは理解できないのが普通だから、実際の例を見てみよう。
軌道
S8から順列
σ=[1328364754617582]
を考えてみよう。この表現は
1→3→6→12→8→24→7→5→4
を表す。だから、同値関係∼は次の三つの同値類を決定する。
{1,3,6}{2,8}{4,5,7}
循環
S5から順列
μ1=[1322354154]
を考えてみよう。この順列は1→3→5→4→1で表され、変わらない2を除いて(1,3,5,4)だけで表すことができる。この表現を使うとき、順序が重要で、(1,3,5,4)=(3,5,4,1)だけど(1,3,5,4)=(1,5,3,4)ではないことを注目しなければならない。また、
μ2=[122133]
を考えると、(1,2)は3が存在することさえ表されないから、S3で(1,2)だと明確にする必要がある。
長さ
循環
μ1=[1322354154]
の軌道は
{1,3,4,5}{2}
二つだけだ。この時、∣{1,3,4,5}∣=4と∣{2}∣=1だから、μ1の長さは4になる。
転置
循環
μ2=[122133]=(1,2)
は長さが2だから、転置だ。簡単に言うと、二つの元だけを交換する循環だ。一般的に、
(1,2,⋯,n)=(1,n)(1,n−1)⋯(1,3)(1,2)
で表すことができる。もし3を基準にしたいなら、
(1,2,⋯,n)=(3,4,⋯,n,1,2)=(3,2)(3,1)⋯(3,4)
に変えればいい。とても便利な性質だから、必ず覚えておこう。
互いに素
σ=[1328364754617582]=(1,3,6)(2,8)(4,7,5)
を考えてみよう。三つの循環(1,3,6)、(2,8)、そして(4,7,5)は、対応する軌道が元を共有しないから、互いに素だ。この表現から分かることは、
(1,3,6)(2,8)(4,7,5)=(4,7,5)(2,8)(1,3,6)
として表すのは全く問題ないということだ。順列は循環の積として表されるし、そういう積を同じものと見なせば、軌道は一意に決まる。
定理