二項係数の一般化:ベータ関数
📂関数二項係数の一般化:ベータ関数
定理:ベータ関数で表される二項係数
0≤k≤nが二つの自然数 k,nに対して満たされるとき、下記の式が成立する。
(kn)=nCk=C(n,k)=(n+1)B(n−k+1,k+1)1
二つの自然数 m,nに対して下記の式が成立する。
B(m,n)=[m+nmn(m+nn)]−1
説明
B(p,q):=∫01tp−1(1−t)q−1dtで定義されるベータ関数は、このように二項係数の一般化と見ることもできる。証明は難しくないが、まず補助定理を証明しなければならない。
証明
補助定理 1
B(p,q)=B(p+1,q)+B(p,q+1)
補助定理 1 の証明
B(p+1,q)+B(p,q+1)====∫01tp−1(1−t)q−1dt+∫01tp−1(1−t)p−1dt∫01tp−1(1−t)q−1[t+(1−t)]dt∫01tp−1(1−t)q−1dtB(p,q)
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補助定理 2
- (a): B(p+1,q)=p+qpB(p,q)
- (b): B(p,q+1)=p+qqB(p,q)
補助定理 2 の証明
B(p+1,q)====∫01tp(1−t)q−1dt[−q1tp(1−t)q]01+∫01qptp−1(1−t)qdt0+qp∫01tp−1(1−t)qdtqpB(p,q+1)
二番目の等式で部分積分を使用した。(a)の補助定理 1 により、B(p,q+1)=B(p,q)−B(p+1,q)ため、上記の式に代入すると
B(p+1,q)=qpB(p,q)−qpB(p+1,q)⇒qq+pB(p+1,q)=qpB(p,q)⇒B(p+1,q)=p+qpB(p,q)
(b)の補助定理 1 により、B(p+1,q)=B(p,q)−B(p,q+1)ため、上記の式に代入すると
B(p,q)−B(p,q+1)=qpB(p,q+1)⇒B(p,q)=qp+qB(p,q+1)⇒B(p,q+1)=p+qqB(p,q)
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本証明
まず、B(1,1)=1であることを示そう。定義によりすぐにわかる。
B(1,1)=∫01t0(1−t)0dt=1−0=1
m,n∈Nとする。 補助定理 2の (a)をB(m,n)に繰り返し適用すると
B(m,n)====m+n−1m−1B(m−1,n)m+n−1m−1⋅m+n−2m−2B(m−2,n)m+n−1m−1⋅m+n−2m−2⋅⋯m+n−(m−1)1B(1,n)(m+n−1)(m+n−2)⋯(n+1)(m−1)!B(1,n)
補助定理 2の (b)を繰り返し適用すると
B(m,n)========(m+n−1)(m+n−2)⋯(n+1)(m−1)!B(1,n)(m+n−1)(m+n−2)⋯(n+1)(m−1)!nn−1B(1,n−1)(m+n−1)(m+n−2)⋯(n+1)(m−1)!nn−1⋅n−1n−2B(1,n−2)(m+n−1)(m+n−2)⋯(n+1)(m−1)!nn−1⋅n−1n−2⋯n+1−(n−1)1B(1,1)(m+n−1)(m+n−2)⋯(n+1)n(n−1)⋯2(m−1)!(n−1)!B(1,1)(m+n−1)!(m−1)!(n−1)!mnm+n(m+n)!m!n![m+nmn(m+nn)]−1
上記の式の下から三番目の等式に、m=n−k+1、n=k+1を代入すると
B(n−k+1,k+1)=(n+1)!(n−k)!k!=(n+1)n!(n−k)!k!
したがって
(n−k)!k!n!=(nk)=(n+1)B(n−k+1,k+1)1
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参照