力学におけるフラクタルとは何か?
用語
フラクタルfractalは一般に自己相似性self-similarityを持つ幾何学的オブジェクトを指し、その例や概念も広く知られているが、普遍的に受け入れられている定義はない1。
簡単な合意
任意の小さなスケールでも精緻な構造を持つ、複雑な幾何形状をフラクタルとする。ほとんどのフラクタルはある程度の自己相似性を持つ2。
難しい合意
広範囲の異なるスケールで複雑な構造が繰り返されるか、フラクタル次元fractal dimensionが整数でない構造をフラクタルとする3。フラクタル次元としては次のようなものがある:
説明
フラクタル自体に関心を持つフラクタル幾何学fractal geometryではどうか知らないが、動的系に関連する要素としてのフラクタルは、動的系の多くの概念と同様に簡単に定義されるのが難しい。
少なくとも動的系においては、フラクタルはカオスという概念と深く関連している。大まかに言えば、混沌とはシステムの軌道が収束または発散せず、有界でありながら周期を持たず、初期条件に敏感で予測できないことを指す。しかし、そのフェーズプレーンを見るとフラクタルの構造を持っていることが観察でき、これは混沌というものの本質を考えると非常に理にかなっている。
- 特異的な軌道は一度通った点に永遠に戻ることがないが、これが有界な空間で起こるためにはどんなに小さなスケールで空間を分けても、軌道が通る道が常に残っている必要がある。
- フラクタルの境界は視覚的に想像するのが難しい。境界付近で一点を定めたとき、それがフラクタルの内側にあるか外側にあるかもわからず、その点を少し動かしたときも依然として同じベイスンにあるかどうかも知れない。その点を定めることが初期条件を決めることと同じ線上にあると考えると、これらが互いに関連性があることを多少納得できるかもしれない。