位相的性質
📂位相幾何学位相的性質
定義
二つの空間X,Yが同相であれば、Xの性質PをYも持っている場合、Pを位相的性質topological Propertyと言う。位相的性質の例は以下の通りである。
説明
代数学で同型写像が重要であるように、位相数学では同相写像がなぜ重要かというと、このことが示されると、一見異なる空間でも多くの性質を共有していることがわかるからである。もちろん、研究が難しい空間を、研究しやすい空間に持ってきて考えることも可能である。
証明
分離可能性
同相写像f:X→Yが存在し、Xが分離可能空間であるとしよう。Yが分離可能空間であることを示せば、証明は終わる。
仮定により、Xは分離可能空間であるので、A=Xを満たす可算部分集合A⊂Xが存在する。自明にf(A)はYの可算部分集合であり、f(A)=Yを示せばいい。
fが連続関数なら、全てのA⊂Xに対して、f(A)⊂f(A)
fは全射なのでf(X)=Yが成り立ち、連続関数なのでf(A)⊂f(A)、つまり
Y=f(X)=f(A)⊂f(A)
となり、整理するとY⊂f(A)だ。一方、Yはfの値域なのでf(A)⊂Yであり、f(A)=Yだ。
■
第一可算性
同相写像f:X→Yが存在し、Xが第一可算空間であるとしよう。Yが第一可算空間であることを示せば、証明は終わる。
fが連続関数なら、全ての開集合V⊂Yに対して、f−1(V)がXで開集合である。
fは連続関数なので、Yの全ての開部分集合f(x)∈Vに対してx∈f−1(V)はXで開集合だ。全てのx∈Xに対して、局所基底Bxが存在するので、
x∈B⊂f−1(V)
を満たすBが常に存在する。従ってf(x)∈f(B)⊂Vであり、fは開関数なので、全てのB⊂Bxに対してf(B)はYで開集合だ。つまり
Bf(x):={f(B) ∣ B∈Bx}
はf(x)∈Yの局所基底であり、Bxが可算集合なので、Bf(x)も可算集合だ。fは全単射なので、全てのy=f(x)に対してByが存在し、Yは第一可算空間だ。
■
第二可算性
同相写像f:X→Yが存在し、Xが第二可算空間であるとしよう。Yが第二可算空間であることを示せば、証明は終わる。
仮定によりXの可算基底B:={Bn ∣ n∈N}が存在する。
fが連続関数なら、全ての開集合V⊂Yに対して、f−1(V)がXで開集合である。
fは連続関数なので、全ての開集合V⊂yに対してf−1(V)はXで開集合だ。BはXの基底なのでf−1(V)=i∈I⋃Biであり、
V=f(i∈I⋃Bi)=i∈I⋃f(Bi)
つまり、全てのVに対して可算基底B’:={f(Bn)∣ n∈N}が存在し、Yは第二可算空間だ。
■
距離化可能性
同相写像f:X→Yが存在し、Xが距離化可能空間であるとしよう。Yが距離化可能空間であることを示せば、証明は終わる。
距離の条件:
- (i): d(x,y)=0⟺x=y
- (ii): d(x,y)=d(y,x)
- (iii): d(x,y)+d(y,z)≥d(x,z)
(X,d)が距離空間になる距離d:X×X→[0,∞)が存在すると仮定する。ここでd’:Y×Y→[0,∞)を
d’(y1,y2):=d(f−1(y1),f−1(y2))
のように定義する。d′は距離dを通じて定義されたので、容易に距離である条件を満たすことが示せる。
fが連続関数なら、全ての開集合V⊂Yに対して、f−1(V)はXで開集合である。
fは連続関数なので、全ての開集合V⊂Yに対してf−1(V)はXで開集合だ。
従って
f−1(V)=x∈f−1(V)⋃Bd(x,rx)
であり、像をとると
V===fx∈f−1(V)⋃Bd(x,rx)x∈f−1(V)⋃f(Bd(x,rx))x∈f−1(V)⋃Bd’(f(x),rx)
fは同相写像なので
Bd’(f(x),r)=Bd’(y,r)=f(Bd(f−1(y),r))
はYで開いた球だ。従って、全ての開いた球の集合B’:={Bd’(y,r) ∣ y∈Y∧r>0}はYの基底になり、Yは距離化可能空間だ。
■