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拡張複素平面において、円は双線形変換に対して不変である。 📂複素解析

拡張複素平面において、円は双線形変換に対して不変である。

定理 1

全ての双一次変換は、C\overline { \mathbb{C} }で記述された円を別のC\overline { \mathbb{C} }で記述された円に対応させる。

証明

一般的な円の方程式を a(x2+y2)+2px+2qy+c=0 a ( x^2 + y^2 ) + 2p x + 2q y + c = 0 と表してみよう。そして、B:=piqB := p - iqと置くと、複素平面上のz=x+iyz = x + i yについて azz+Bz+Bz+c=0 az \overline{z} + Bz + \overline{Bz } + c = 0 を得ることができる。今、azz+Bz+Bz+c=0az \overline{z} + Bz + \overline{Bz } + c = 0に対して線形変換w=zβα\displaystyle w = {{z - \beta} \over {\alpha}}と反転w=1z\displaystyle w = {{1} \over {z}}を適用しても同じ形が維持されることを示せば、証明は完了だ。


ケース 1. 線形変換

z=αw+βz = \alpha w + \betaであるため、 aααww+(aαβ+αB)w+(aαβ+αB)w+(aββ+(βB+βB)+c)=0 a \alpha \overline{\alpha} w \overline{w} + (a \alpha \overline{\beta} + \alpha B ) w + (a \overline{\alpha} \beta + \overline{\alpha B} ) \overline{w} + ( a \beta \overline{ \beta } + ( \beta B + \overline{\beta B} ) + c ) = 0


ケース 2. 反転

z=1w\displaystyle z = {{1} \over {w}}であるため、 a+Bw+Bw+cww=0 a + B \overline{w} + \overline{B} w + c w \overline{w} = 0 共役複素数の性質を考えると、新しい方程式は全てazz+Bz+Bz+c=0az \overline{z} + Bz + \overline{Bz } + c = 0と同じ形であることが分かる。

説明

拡張複素平面とは、単純に複素平面C\mathbb{C}に無限大\inftyを加えて拡張した概念である。粗く表現すれば、数式で示すならC=C{}\overline { \mathbb{C} } = \mathbb{C} \cup \left\{ \infty \right\}で、\inftyを’平面の端’のように考えても問題ない。この意味で、\inftyは原点から無限に遠い場所に存在し、方向に関係なくどこにでも存在し、当然陰陽を問わない。

円は一直線上にない三点によって決定されるので、上記の定理と組み合わせてみれば、円全体ではなく三点だけを気にすればよい。一方、拡張複素平面上で、線は両端に\inftyを持ってその二つがつながっていると考えたらどうだろう。線は異なる二点によって決定されるので、そこに\inftyを加えて三点で円を決定すると言えるだろう。空間を曲げることができれば、これらは複素平面を丸めた円筒の表面で正確に’円’の形をしている。

この説明を受け入れることができれば、以下の系も自然に理解できるだろう。等角写像の議論において、この事実は非常に重要なので、納得できなくても、事実として知っておくべきだ。

全ての双一次変換は、C\overline { \mathbb{C} }で記述された直線を別のC\overline { \mathbb{C} }で記述された直線に対応させる。


  1. Osborne (1999). Complex variables and their applications: p202. ↩︎