位相空間における基底と局所基底
定義
位相空間 $\left( X , \mathscr{T} \right)$ に対して $\mathscr{B} , \mathscr{B}_{x} \subset \mathscr{T}$ とする。
- $B_{\lambda} \in \mathscr{B}$ とするとき、すべての $U \in \mathscr{T}$ に対して $$ U = \bigcup_{\lambda \in \Lambda} B_{ \lambda } $$ を満たす添字集合 $\Lambda$ が存在すれば、$\mathscr{B}$ を $\mathscr{T}$ に対する基底basisという。このとき位相 $\mathscr{T}$ は $\mathscr{B}$ によって生成されるgeneratedという。
- $x \in X$ とするとき、すべての $B \in \mathscr{B}_{x}$ に対して $x \in B$ であり、$x$ を含むすべての $U \in \mathscr{T}$ に対して $$ x \in B \subset U $$ を満たす $B \in \mathscr{B}_{x}$ が存在すれば、$\mathscr{B}_{x}$ を $x$ における局所基底local Basisという。
説明
定義がかなり紛らわしく書かれているので、演習問題を解く前には概念的に受け入れる方がはるかに楽だろう。線形代数における基底とは感じが似ているだけで、定義の上では似ている点はほとんどないので、その関連性を見つけようと苦労しないようにしよう。
基底とは一言でいえば、与えられた位相を和集合として作ることのできる集合である。共通部分を考える必要まではないので、位相における「小さい」開集合を集めて構成すればよい。
距離空間を例に挙げれば、すべての開球の集合は距離空間の基底になる。
必要性
教科書で勉強する立場からすると、線形代数でそうしたように位相 $\mathscr{T}$ から基底 $\mathscr{B}$ を見つけようと考えるので、難しくて曖昧なだけの概念である。逆に生成、つまり基底から位相を作る立場になってみれば、基底というものはこれほど便利なものはない。
例えば自然数の数列で位相空間を作るとしたとき、初項を基準に位相を作りたいなら、$B_{1}$ は初項が $1$ の数列の集合、$B_{2}$ は初項が $2$ の数列の集合、$B_{k}$ は初項が $k$ の数列の集合 … そしてこれらを開集合として考えるという方法でアプローチしてみることができる。問題は $\mathscr{T}$ に和集合 $B_{1} \cup B_{2}$ が存在しないということである。初項が $1$ か $2$ である数列は存在しないためだが、こういうときに単に $\mathscr{B} = \left\{ B_{k} \right\}_{k \in \mathbb{N}}$ から出てくるすべての和集合があるとみなせば、事がずっと楽になる。これこそが基底によって生成された位相を存分に活用したことになる。
判別法 1
基底の判別: 全体集合 $X$ に対して $\mathscr{B} \subset \mathscr{P} (X)$ は以下の二つの条件を満たすとき $X$ の基底である。
- (i): $\displaystyle X = \bigcup_{B \in \mathscr{B}} B$
- (ii): $x \in B_{1} \cap B_{2}$ であるすべての $ B_{1} , B_{2} \in \mathscr{B}$ に対して、次を満たす $B_{x} \in \mathscr{B}$ が存在する。 $$ x \in B_{x} \subset B_{1} \cap B_{2} $$
上の判別法は実際の問題解決などで有用に使える定理なので、必ず覚えておくようにしよう。教材によってはむしろこの判別法が定義になることもある。
局所基底は位相全体に対する概念である基底とは異なり、与えられた一点だけを扱う概念である。言葉は長くて難しいが、要約すれば結局 $x$ を含むすべての開空間のうち最も「小さい」ものだけを集めても局所基底の条件を満たす。
距離空間を例に挙げれば、$x$ を中心とするすべての開球の集合は $x$ における局所基底になる。
基底と局所基底の関係
$X$ を位相空間とする。
$\mathscr{B}$ が $X$ の基底なら $\mathscr{B}_{x} := \left\{ B \in \mathscr{B} \ | \ x \in B \right\}$ は $x \in X$ の局所基底である。逆に、すべての $x \in X$ に対して $\mathscr{B}_{x}$ が局所基底なら $\displaystyle \mathscr{B} := \bigcup_{x \in X} \mathscr{B}_{x}$ は $X$ の基底である。
注意
必要十分条件ではないので、逆が成り立つためにはすべての点における局所基底を考えなければならないという点に注意しよう。
Munkres. (2000). Topology(2nd Edition): p78. ↩︎
