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全ての巡回群が整数群と同型であることの証明 📂抽象代数

全ての巡回群が整数群と同型であることの証明

定理 1

巡回群 $\left< a \right>$ が有限群ならば $\left< a \right> \simeq \mathbb{Z}_{n}$、無限群ならば $\left< a \right> \simeq \mathbb{Z}$ だ。

説明

この定理で、巡回群に関する探索は実質的に完了する。抽象的だけだった群が突然整数論の領域に落ちるので、できることがかなり多くなる。反対に、群論の理論を使って整数論の問題を解くことも可能だろう。

証明

$m \in \mathbb{n}$ が $a^m = e$ を満たす場合と満たさない場合に分けて証明する。これは実質的に $\left< a \right>$ が有限の場合と無限の場合に分けることだ。


ケース 1. ある自然数 $m$ に対して $a^m = e$

$a^m = e$ を満たす最小の自然数を $n$ とする。$0 \le r < n$ に対して自然数 $s = nq + r$ を考えると $$ a^{s} = a^{nq + r} = (a^{n})^{q} a^{r} = e^{q} a^{r} = a^{r} $$ $n$ より小さい異なる二つの自然数 $h > k$ が $a^{h} = a^{k}$ とすると $a^{h-k} = e$ かつ $(h-k) < n$ であるから、$n$ は $a^m = e$ を満たす最小の自然数ではなくなり、矛盾する。従って、$a^{0} = e$ と $a , a^2 , \cdots , a^{n-1}$ は全て異なる要素でなければならない。これから関数 $\phi : \left< a \right> \to \mathbb{Z}_{n}$ を $\phi (a^{i}) = i$ として定義すると全単射になり、 $$ \phi ( a^{i} a^{j} ) \equiv \phi ( a^{i + j } ) \equiv i + j \equiv \phi (a^{i}) + \phi (a^{j}) \pmod{n} $$ を満たすので、次が成立する。 $$ \left< a \right> \simeq \mathbb{Z}_{n} $$


ケース 2. すべての自然数 $m$ に対して $a^m \ne e$

異なる二つの自然数 $h > k$ が $a^{h} = a^{k}$ とすると $$ a^{h} a^{-k} = a^{h - k } = e $$ 従って、$( h - k) \in \mathbb{N}$ が存在し、仮定に矛盾する。従って、$a^m = e$ を満たす自然数 $m$ が存在するならば、それは唯一でなければならない。これから関数 $\phi : \left< a \right> \to \mathbb{Z}$ を $\phi (a^{i}) = i$ として定義すると全単射になり、 $$ \phi ( a^{i} a^{j} ) = \phi ( a^{i + j } ) = i + j = \phi (a^{i}) + \phi (a^{j}) $$ を満たすので、次が成立する。 $$ \left< a \right> \simeq \mathbb{Z} $$


結局のところ、巡回群は有限であれ無限であれ、整数群と同型である。


  1. Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p63. ↩︎