テイラーの定理の証明
📂微分積分学テイラーの定理の証明
定理
関数 f(x) が [a,b] で連続であり、(a,b) で n 回微分可能であれば、
f(b)==k=0∑n−1k!(b−a)kf(k)(a)+n!(b−a)nf(n)(ξ)f(a)+(b−a)f′(a)+⋯+(n−1)!(b−a)n−1f(n−1)(a)+(n)!(b−a)nf(n)(ξ)
を満たす ξ∈(a,b) が存在する。
説明
数学全般で非常に重要な定理で、この定理にちなんでテイラー級数がある。n回微分するという意味においては、平均値の定理を一般化したものと言える。
通常、テイラーの定理を使用する時は、cではなく、ξを使用する。
証明
f(b):=0!(b−a)0f(a)+1!(b−a)1f′(a)+2!(b−a)2f′′(a)+⋯+(n−1)!(b−a)n−1f(n−1)(a)+(n)!(b−a)nc
としよう。c=f(n)(ξ) を示せば証明は終わる。関数 g を次のように定義する。
g(x):==−f(b)+f(x)+1!(b−x)1f′(x)+2!(b−x)2f′′(x)+⋯+(n−1)!(b−x)n−1f(n−1)(x)+(n)!(b−x)nc−f(b)+k=0∑n−1(k)!(b−x)kf(k)(x)+(n)!(b−x)nc
g は [a,b] で連続で、(a,b) で微分可能であり、c の定義により g(b)=g(a)=0である。
ロルの定理: 関数 f(x)が [a,b]で連続で、(a,b)で微分可能で、f(a)=f(b) ならば、(a,b) で少なくとも一つの ξ が f′(ξ)=0 を満たす。
h(x) を
h(x):=====[k=0∑n−1(k)!(b−x)kf(k)(x)]′[(0)!(b−x)0f(0)(x)+(1)!(b−x)1f(1)(x)+⋯+(n−1)!(b−x)n−1f(n−1)(x)]′[f(x)+(1)!(b−x)1f(1)(x)+⋯+(n−1)!(b−x)n−1f(n−1)(x)]′f(1)(x)−[f(1)(x)+(1)!(b−x)1f(2)(x)]+[−(1)!(b−x)1f(2)(x)+(2)!(b−x)2f(3)(x)]⋮+[−(n−3)!(b−x)n−3f(n−2)(x)+(n−2)!(b−x)n−2f(n−1)(x)]+[−(n−2)!(b−x)n−2f(n−1)(x)+(n−1)!(b−x)n−1f(n)(x)](n−1)!(b−x)n−1f(n)(x)
とし、g′(x)=0+h(x)−(n−1)!(b−x)n−1c であるため、ロルの定理により、
g′(ξ)===h(ξ)−(n−1)!(b−ξ)n−1c(n−1)!(b−ξ)n−1f(n)(ξ)−(n−1)!(b−ξ)n−1c0
を満たす ξ が (a,b) に少なくとも一つ存在する。したがって、
⟹⟹(n−1)!(b−ξ)n−1f(n)(ξ)−(n−1)!(b−ξ)n−1c=(n−1)!(b−ξ)n−1f(n)(ξ)=f(n)(ξ)=0(n−1)!(b−ξ)n−1cc
c=f(n)(ξ) を示したので、証明が終了した。
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上記のように証明したが、より一般的に使用される形は以下の通りである。もちろんx∈[a,b]で、x0∈(a,b)として、実質的に[x0,x]⊂[a,b]となる。
テイラーの定理
関数 f(x) が [a,b] で連続であり、(a,b) で n 回微分可能であれば、x0∈(a,b)に対して、
f(x)=k=0∑n−1k!(x−x0)kf(k)(x0)+n!(x−x0)nf(n)(ξ)
を満たす ξ∈(a,b) が存在する。
参照