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行列のリー群のリー代数 📂表現論

行列のリー群のリー代数

定義1

$G$を行列リー群とする。次を満たす集合を$G$のリー代数Lie algebra of $G$といい、$\mathfrak{g}$と表す。

$$ \mathfrak{g} = \left\{X : e^{tX} \in G \text{ for all } t \in \mathbb{R} \right\} $$

ここで $e^{tX}$ は行列指数である。

説明

行列リー代数は、定義のとおり、慣例的に対応する行列リー群を小文字のフラクトゥール体で表記する。

$$ \operatorname{GL}(n, \mathbb{R}) \leftrightarrow \mathfrak{gl}(n, \mathbb{R}) $$

$$ \operatorname{SL}(n, \mathbb{R}) \leftrightarrow \mathfrak{sl}(n, \mathbb{R}) $$

リー代数には、反対称性かつ線形二項演算 $[\cdot, \cdot]$ が存在し、これを行列リー群のリー代数では行列積に関して $[X, Y] = XY - YX$ と定義する。これをブラケットbracketまたは交換子commutatorという。

性質

$G$を行列リー群、$\mathfrak{g}$を$G$のリー代数とする。$X, Y \in \mathfrak{g}$について次が成り立つ。

(a) $\forall A \in G$,$\quad AXA^{-1} \in \mathfrak{g}$

(b) $\forall s \in \mathbb{R}$, $\quad sX \in \mathfrak{g}$

(c) $X + Y \in \mathfrak{g}$

(d) $[X, Y] = XY - YX \in \mathfrak{g}$

証明

(a)

$\mathfrak{g}$の定義により、$AXA^{-1} \in \mathfrak{g}$であることを示すには$e^{t(AXA^{-1})} \in G$であることを確認すればよい。行列指数の性質により、$A \in G$ならば$e^{t(AXA^{-1})} = e^{A(tX)A^{-1}} = Ae^{tX}A^{-1}$である。$A, e^{tX}, A^{-1} \in G$であり$G$は行列積について閉じているので、$Ae^{tX}A^{-1} \in G$である。したがって$AXA^{-1} \in \mathfrak{g}$である。

(b)

$e^{t(sX)} = e^{(ts)X}$であるが、すべての$t \in \mathbb{R}$に対して$e^{tX} \in G$なので、すべての$s$に対して$sX \in \mathfrak{g}$である。

(c)

リー積公式により次が成り立つ。

$$ e^{t(X+Y)} = \lim\limits_{m \to \infty} (e^{tX/m} e^{tY/m})^{m} $$

ここで$X, Y \in G$であり$G$は行列積に関して閉じているので、任意の$m$に対して$(e^{tX/m}e^{tY/m})^{m}\in G$である。また$G$は定義により、$G$の数列は常に$G$に収束する。したがって$e^{t(X+Y)} \in G$であり、$X + Y \in \mathfrak{g}$である。

(d)

まず行列値関数の微分行列指数の性質により次が成り立つ。

$$ \begin{align*} \left.\dfrac{d}{dt} (e^{tX}Ye^{-tX}) \right|_{t=0} &= Xe^{0X}Ye^{0X} + e^{0X}Y(-X)e^{0X} \\ &= XY - YX \end{align*} $$

一方、(a)によりすべての$t$に対して$e^{tX}Ye^{-tX} \in \mathfrak{g}$である。また(b)、**(c)**により加法とスカラー倍に関して閉じているので$\mathfrak{g}$は$M_{n}(\mathbb{C})$の実部分空間である。$M_{n}(\mathbb{C})$の標準ノルムを考えれば、$\mathfrak{g}$は有限次元ノルム空間ゆえに完備空間である。したがって完備部分空間であるから $\mathfrak{g} \subset M_{n}(\mathbb{C})$は閉集合である

一方、前に示したとおり$e^{hX}Ye^{-hX} \in \mathfrak{g}$であり$\mathfrak{g}$は部分空間なので、各$h \ne 0$に対して差分は$\dfrac{e^{hX}Ye^{-hX} - Y}{h} \in \mathfrak{g}$である。したがって$\mathfrak{g}$が閉集合であるので、これら差分の極限である下の値も$\mathfrak{g}$に属する。

$$ XY - YX = \lim_{h \to 0} \dfrac{e^{hX}Ye^{-hX} - Y}{h} $$


  1. Brian C. Hall. Lie Groups, Lie Algebras, and Representations (2nd), p56-57. ↩︎