任意の冪零行列は上三角行列に相似である
定理
行列 $A \in M_{n \times n}(\mathbb{C})$を冪零とする。これは上三角行列と相似である。
証明
$A$が$A^{k} = O$を満たすとする。すると核の単調性により以下のようなフラグが存在する。
$$ \left\{ \mathbf{0} \right\} \lneq \ker A \lneq \ker A^{2} \lneq \cdots \lneq \ker A^{k-1} \lneq \ker A^{k} = \mathbb{C}^{n} $$
$$ \dim (\ker A) \lt \dim (\ker A^{2}) \lt \cdots \lt \dim (\ker A^{k-1}) \lt \dim (\ker A^{k}) = n $$
$\ker A$の基底を$B_{1}$とする。この基底を拡張して得た$\ker A^{2}$の基底を$B_{2}$とする。同様の方法で得た$\ker A^{i}$の基底たちを$B_{i}$とする。そして集合$S_{i}$を以下のように定める。
$$ S_{i} = B_{i} \setminus B_{i-1} $$
すなわち$S_{i}$は$\ker A^{i}$で新たに追加された基底ベクトルの集合である。ある基底ベクトルが$v \in S_{i}$ならば定義により次を満たす。
$$ v \in \ker A^{i}, \quad Av \in \ker A^{i-1}, \\ v \notin \ker A^{i-1} $$
しかし$\ker A^{i-1} = \span (B_{i-1}) = \span (S_{1} \cup \cdots \cup S_{i-1})$なので、$Av$は$S_{1} \cup \dots \cup S_{i-1}$のベクトルの線形結合として表される。すなわち$B_{k}$を選んだ座標ベクトルを考えると、$Av$の成分(座標)は$N_{i-1} = |B_{i-1}|$目までしか$0$でない成分が現れず、それ以降はすべて$0$となる。一般性を失わずに$B_{k}$の全てのベクトルの大きさが$1$だとすると、これらを列ベクトルとする行列$Q$はユニタリ行列となり、$Q^{\ast}AQ$は上三角行列になる。
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