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ジョルダンの補助定理を通した広義積分の評価 📂複素解析

ジョルダンの補助定理を通した広義積分の評価

説明 1

まず、有理関数の発散する半円上の複素経路積分による異常積分に似て、二つの多項式 $p(z) , q(z)$ に対して $\displaystyle f(z) = {{q(z)} \over {p(z)}}$ とする。

$p(z) = 0$ を満たす実数解が存在しない場合、$f$ は実数の特異点を持たないことになる。正の $m \in \mathbb{R}^{+}$ に対し $\displaystyle \int_{- \infty}^{\infty} \sin{mx}f(x) dx$ または $\displaystyle \int_{- \infty}^{\infty} \cos{mx}f(x) dx$ 形式の積分を考えると、

異常積分が存在する条件は $\displaystyle f(z) \sim {{1} \over {z^{p}}}$ から $p > 0$ に緩和されることがわかる。無限級数の概念で考えると、調和級数 $\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} {{1 }\over {n}}$ は発散するが、交代調和級数 $\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} (-1)^{n} {{1 }\over {n}}$ は収束するのに似ている。

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このような単純な閉じた半円 $\mathscr{C} = {\color{red}\Gamma} \cup [-R,R]$ を考えると、 $$ \int_{\mathscr{C}} e^{m i z} f(z) dz = \color{red} {\int_{\Gamma} e^{m i z} f(z) dz } + \int_{-R}^{R} \cos m z f(z) dz + i \int_{-R}^{R} \sin m z f(z) dz $$ 部分的に考えることができる。

ジョルダンの補題関数 $f$ が $\Gamma$ で連続であり、$\displaystyle \lim_{z \to \infty} f(z) = 0$ の場合、正の $m \in \mathbb{R}^{+}$ に対して $$\lim_{R \to \infty} \int_{\Gamma} e^{m i z } f(z) dz = 0$$

$R \to \infty$ のとき $\displaystyle \color{red} {\int_{\Gamma} e^{m i z} f(z) dz } \to 0$ なので、留数定理を使って $\displaystyle \int_{\mathscr{C}} e^{m i z}f(z) dz$ を計算すると、実数部は $\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \cos m z f(z) dz$ で、虚数部は $\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \sin m z f(z) dz$ となる。


  1. Osborne (1999). Complex variables and their applications: p167. ↩︎