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距離空間において、コンパクトであれば閉じており有界である 📂距離空間

距離空間において、コンパクトであれば閉じており有界である

概要

距離空間 $(X, d)$のコンパクト部分集合 $K$は、有界であり、閉集合である。

説明

逆は一般に成り立たない。ユークリッド空間では、逆が成り立つ

証明

有界性1

背理法で証明する。$K$が有界でないと仮定してみる。距離空間でコンパクトであることは、数列コンパクトであることと同等であるため、$K$は数列コンパクトである。

数列コンパクト

距離空間 $X$が数列コンパクトsequentially compactであるとは、$X$内のすべての数列 $\left\{ x_{n} \right\}$が、$X$の点に収束する部分数列 $\left\{ x_{n_{k}} \right\}$を持つということを意味する。

$K$が有界でないので、固定された$b \in X$に対して、$d(y_{n}, b) \gt n$を満たす有界でない数列$\left\{ y_{n} \in M \right\}$が存在する。$K$が数列コンパクトであるため、この数列は収束する部分数列を持っており、この部分数列も $\left\{ y_{n} \right\}$の性質により同様に有界ではない。しかし、距離空間で収束する数列は有界であるため、これは矛盾である。したがって、仮定は誤っており、$K$は有界である。

閉じられている2

$K$を距離空間$X$のコンパクト部分集合とする。$K^{c}$が開いていることを示せば、開集合の補集合は閉集合であるため、$K$は閉集合である。$K^{c}$のすべての点が内点であることを示せばよい。これから$p \in K^{c}$を考えてみよう。そして、$q\in K$に対して、それぞれ$V_{q}$と$W_{q}$を${\textstyle \frac{1}{2}}d(p,q)$より小さい半径を持つ$p$と$q$の近傍としよう。$V$は$p$の近傍だが、固定された$p\in K^{c}$に対して特定の$q\in K$が与えられるたびに、$q$との距離によって定まる$p$の半径であるため、索引として$q$を使用する。テキストがよく理解できない場合は、以下の図を参照。

5F3CC9892.png

これから$\left\{ W_{q} \right\}_{q\in K}$を考えてみよう。これは$K$の開被覆になる。仮定により、$K$がコンパクトであるため、下記の式を満たす何らかの$q_{1},\cdots,q_{n}$が存在する。

$$ K \subset W_{q_{1}}\cup \cdots \cup W_{q_{n}}=W $$

そして、それを$V=V_{q_{1}}\cap \cdots \cap V_{q_{n}}$としよう。すると、$V$は依然として$p$の近傍である。また、最初に$V_{q}$、$W_{q}$を適切に選んだため、$V\cap W=\varnothing$が成り立つことがわかる。したがって、$W$が$K$の開被覆であるため、以下が真である。

$$ V \subset K^{c} $$

すべての$p\in K^{c}$が常に$K^{c}$に含まれる近傍を持っているため、すべての$p \in K^{c}$は$K^{c}$の内点である。したがって、$K^{c}$は開集合であり、$K$は閉集合である。


  1. Erwin Kreyszig, Introductory Functional Analysis with Applications (1978), p77 ↩︎

  2. Walter Rudin, Principles of Mathmatical Analysis (3rd Edition, 1976), p37 ↩︎