コレスキー分解の一意性証明
定理
$A>0$ はただ一つのコレスキー分解を持つ。
説明
固有値対角化、特異値分解、シューア分解、LU分解、LDU分解はすべて一意性がない点が共通している。これらの方法はすべて固有値と固有ベクトルの関係を利用するか、$1 = a \dfrac{1}{a}$ だから$L$ または$U$ に分けて割ることができるからだ。
しかし、コレスキー分解は固有値の概念を使用せず、$A=LL^{T}$ として表されるため、$1$ を二つに分けて割ることができない。このように直感的な話をもう少し丁寧に難しく書くと、証明がすぐに完成する。
証明
$A$ は正定値なので可逆行列であり、$A:=LDL^{T}$ を満たす下三角行列$L$ と対角行列$D$ が存在する。
$A=LDL^{T}$ の両辺に左から$\mathbf{x}^{T} \ne \mathbb{0}$ を、右から$\mathbf{x}$ を乗じると
$$ \mathbf{x}^{T} A \mathbf{x} = \mathbf{x}^{T} LDL^{T} \mathbf{x} = (L^{T} \mathbf{x})^{T} D (L^{T} \mathbf{x}) >0 $$
だから、$D$ は正定値行列で、固有値がすべて正であるため、対角成分はすべて正である。
したがって、
$$ D^{ 1/2 } := \text{diag} (\sqrt{d_{11}} , \sqrt{d_{22}} , \cdots , \sqrt{d_{nn}} ) $$
を定義でき、$D = D^{ 1/2 } D^{ 1/2 }$ になる。
$$ A = L D L^{T} = L D^{ 1/2 } D^{ 1/2 } L^{T} $$ から、$\overline{L} := LD^{ 1/2 }$ と定義すると
$$ A = \overline{L} \overline{L}^{T} $$
このような$\overline{L}$ は一意であるため、コレスキー分解も一意である。
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