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位置、速度、加速度 📂古典力学

位置、速度、加速度

位置

定義

物体の位置を表す関数を位置関数、簡単に位置positionという。

説明

物理では、時間による位置の変化(これを運動という)を考えるので、位置は$x = x(t)$のように時間を変数に持つ関数だ。一次元空間を仮定する場合は、主に$x$と表示する。二次元あるいは三次元空間を考える場合は、主にボールド体のrである$\mathbf{r}$と表し、位置 ベクトルと言う。数学的には以下のように表される。

$$ \mathbf{r} : [0, \infty) \to \mathbb{R}^{n},\quad n=1,2,3 $$

三次元空間で主に使用される位置ベクトルの表示には、次のものがある。位置関数を明示的に表さない場合、変数$(t)$を省略して書くことが多い。

$$ \begin{align*} \mathbf{r} &= (x, y, z) \\ &= x\hat{\mathbf{x}} + y\hat{\mathbf{y}} + z\hat{\mathbf{z}} \\ &= x\hat{\mathbf{e}_{1}} + y\hat{\mathbf{e}_{2}} + z\hat{\mathbf{e}_{3}} \\ &= x\mathbf{i} + y\mathbf{j} + z\mathbf{k} \end{align*} $$

黒板では普通、矢印を使って$\vec{r}$のように記すが、教科書ではボールド体で表して$\mathbf{r}$と書く。位置-時間グラフを描く時は、水平軸を時間$t$、垂直軸を位置$x$にするのが一般的だ。

変位

時間$t_{0}$から$t_{1}$までの位置の変化を変位という。あまり使われない言葉だ。

$$ \Delta \mathbf{r} = \mathbf{r}(t_{1}) - \mathbf{r}(t_{0}) $$

時間$t_{0}$と$t_{1}$での差しか考えないので、変位が$0$だと言っても、その時間内に動いていなかったという意味ではない。

速度

定義

位置関数の導関数速度velocityとし、$\mathbf{v}$と表示する。

$$ v(t) = \dfrac{d x(t)}{d t} $$

$$ \mathbf{v}(t) = \dfrac{d \mathbf{r}(t)}{d t} $$

説明

速度が定数関数であれば、物体は等速運動uniform motionをしていると言える。

積分は微分の逆演算なので、次が成り立つ。

$$ x(t_{1}) = x(t_{0}) + \int_{t_{0}}^{t_{1}} v(\tau) d\tau $$

平均速度

変位を運動時間$\Delta t = t_{1} - t_{0}$で割ったものを平均速度という。

$$ \overline{v} = \dfrac{\Delta x}{\Delta t} $$

$$ \overline{\mathbf{v}} = \dfrac{\Delta \mathbf{r}}{\Delta t} $$

速さ

速度の大きさ$\left| \mathbf{v} \right|$を速さspeedという。個人的には、速さという言葉を使うべきではないと思う。それほど重要な概念でもなく、単に速度の大きさだけで十分だ。物理を初めて学ぶ時に混乱するだけで、良いことはない。

度(ど)はスカラーを意味し、力(りょく)はベクトルを意味するので、速度と速さの翻訳が間違っているという意見がある。

加速度

定義

速度の導関数加速度accelerationとし、$\mathbf{a}$と表示する。

$$ a(t) = \dfrac{d v(t)}{d t} $$

$$ \mathbf{a}(t) = \dfrac{d \mathbf{v}(t)}{d t} $$

説明

加速度は位置関数の二階導関数だ。積分は微分の逆演算なので、次が成り立つ。

$$ v(t_{1}) = v(t_{0}) + \int_{t_{0}}^{t_{1}} a(\tau) d\tau $$

加速度が定数関数であれば、物体は等加速度運動uniform acceleration motionをしていると言える。専門の物理を含む、私たちが学ぶほぼ全ての物理的状況で等加速度運動を仮定する。