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不変部分空間と固有ベクトルの関係 📂線形代数

不変部分空間と固有ベクトルの関係

定理1

VVnn次元ベクトル空間T:VVT : V \to V線形変換WVW \le VTT-不変部分空間 とする。v1,,vkv_{1}, \dots, v_{k}を互いに異なる 固有値 に対応する TT固有ベクトル とする。もし v1++vkWv_{1} + \cdots + v_{k} \in W なら、任意の ii に対して viWv_{i} \in W である。

説明

WW部分空間 であるから、viWv_{i} \in W のとき iviW\sum_{i}v_{i} \in W であることは成り立つ。しかし逆は一般には成り立たない。本定理は viv_{i} が固有ベクトルである場合には逆も成り立つことを示す。

証明

数学的帰納法で証明する。

  • k=1k=1 の場合

    自明に v1W    v1Wv_{1} \in W \implies v_{1} \in W である。

  • k=m1k = m-1 のとき成立すると仮定する

    さて k=mk = m のとき、v=v1+vmWv = v_{1} + \cdots v_{m} \in W が成り立つとしよう。すると WWTT-不変であるから、

T(v)=T(v1++vm)=T(v1)+T(vm)=λ1v1++λmvmW T(v) = T(v_{1} + \dots + v_{m}) = T(v_{1}) + \cdots T(v_{m}) = \lambda_{1}v_{1} + \cdots + \lambda_{m}v_{m} \in W

ここで λi\lambda_{i} は互いに異なる固有値である。しかし(WW が部分空間であるので)λmvW\lambda_{m}v \in W であり次が成り立つ。

T(v)λmv=(λ1λm)v1++(λm1λm)vm1W T(v) - \lambda_{m}v = (\lambda_{1} - \lambda_{m})v_{1} + \cdots + (\lambda_{m-1} - \lambda_{m})v_{m-1} \in W

すると k=m1k=m-1 のとき成立するという仮定により次を得る。

(λ1λm)v1,,(λm1λm)vm1W    v1,,vm1W (\lambda_{1}-\lambda_{m})v_{1}, \dots, (\lambda_{m-1}-\lambda_{m})v_{m-1} \in W \implies v_{1}, \dots, v_{m-1} \in W

したがって、WW は部分空間であるから、次が成り立つ。

vm=vv1vm1W v_{m} = v - v_{1} - \cdots - v_{m-1} \in W


  1. Stephen H. Friedberg, Linear Algebra (4th Edition, 2002), p234 ↩︎