異なる固有空間からの線形独立な集合の和集合は線形独立である
定理1
$V$をベクター空間、$T : V \to V$を線形変換としよう。そして、$\lambda_{1}, \lambda_{2}, \dots, \lambda_{k}$と$T$を$T$の異なる固有値だとしよう。各$i = 1, \dots, k$に対して、$S_{i}$を固有空間$E_{\lambda_{i}}$の線形独立な部分集合だとしよう。そうすると、
▶Eq1◀
は$V$の線形独立な部分集合である。
証明
補助定理
定理の表記法に従って、$\lambda_{1}, \lambda_{2}, \dots, \lambda_{k}$が$T$の異なる固有値だとしよう。$v_{i} \in E_{\lambda_{i}}$としよう。もし$v_{1} + \cdots + v_{k} = 0$ならば、全ての$i$に対して$v_{i} = 0$が成り立つ。
証明
結論が間違っていると仮定しよう。つまり、$v_{i} \ne 0$があるとしよう。一般性を失わずに、$1 \le i \le m$について$v_{i} \ne 0$であり、$m \lt i$について$v_{i} = 0$だとしよう。それならば、$i \le m$に対して、以下を得る。
▶Eq2◀
しかし、異なる固有値に対応する固有ベクターは線形独立であるため、上記の式は矛盾である。したがって、全ての$i$に対して$v_{i} = 0$が成り立つ。
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以下のように表記しよう。
▶Eq3◀
それならば、$S = \left\{ v_{ij} : 1 \le j \le n_{i},\ 1 \le i \le k \right\}$。今、次を満たす定数$\left\{ a_{ij} \right\}$を考えよう。
▶Eq4◀
そして、各$i$に対して、次のように置こう。
▶Eq5◀
すると、$w_{i} \in E_{\lambda_{i}}$であり、$w_{1} + w_{2} + \cdots + w_{k} = 0$である。このとき補助定理によって、全ての$i$に対して$w_{i} = 0$が成り立つ。しかし、各$S_{i}$が線形独立と仮定されているので、全ての$j$に対して$a_{ij} = 0$が成り立つ。したがって、$S$は線形独立である。
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Stephen H. Friedberg, Linear Algebra (4th Edition, 2002), p267 ↩︎