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線形変換の値域が核よりも小さい場合の同値条件 📂線形代数

線形変換の値域が核よりも小さい場合の同値条件

定理1

VVベクトル空間で、T:VVT : V \to V線形変換だとする。すると、以下が成り立つ。

T2=T0    R(T)N(T) T^{2} = T_{0} \iff R(T) \subset N(T)

この時、T0T_{0}零変換で、R(T),N(T)R(T), N(T)はそれぞれTT値域と零空間である。

一般化

U,V,WU, V, Wベクトル空間で、T1:UVT_{1} : U \to VT2:VWT_{2} : V \to W線形変換だとする。すると、以下が成り立つ。

T2T1=T0    R(T1)N(T2) T_{2}T_{1} = T_{0} \iff R(T_{1}) \subset N(T_{2})

説明

考えてみれば当たり前の話だ。一般的に書かれた定理の証明方法も同じだ。

一方で、T2=T0T^{2} = T_{0}の線形変換を冪零と言う。

証明

()(\Longrightarrow)

T2=T0T^{2} = T_{0}とする。T(x)R(T)T(x) \in R(T) (xV)(x\in V)とする。すると、

T(T(x))=T2(x)=0 T(T(x)) = T^{2}(x) = 0

したがって、N(T)N(T)の定義により、T(x)N(T)T(x) \in N(T)である。よって、

R(T)N(T) R(T) \subset N(T)

()(\Longleftarrow)

R(T)N(T)R(T) \subset N(T)とする。すると、全てのxVx \in Vに対して、T(x)R(T)N(T)T(x) \in R(T) \subset N(T)であるので、N(T)N(T)の定義により、

R(T)N(T) R(T) \subset N(T)


  1. Stephen H. Friedberg, Linear Algebra (4th Edition, 2002), p97 ↩︎