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同型写像 📂線形代数

同型写像

定義1

二つのベクトル空間$V, W$に対して、可逆線形変換$T : V \to W$が存在する場合、$V$が$W$と同型$V$ is isomorphic to $W$であると言い、以下のように示される。

$$ V \cong W $$

また、$T$を同型写像isomorphismと言う。

説明

可逆である同値条件によって、$T$が同型写像であるということは、$T$が全単射関数であるということと同じである。従って、全単射関数$T : V \to W$が存在すれば、$V, W$は同型である。

$V, W$が同型であるということは、$V$も$W$も事実上変わりがないということである。

定理

$V, W$が有限次元ベクトル空間であるとする。すると、$V$と$W$が同型である必要十分条件は、$\dim (V) = \dim (W)$が成立することである。

$V$をベクトル空間とする。すると、$V$が$\mathbb{R}^{n}$と同型である必要十分条件は、$\dim (V) = n$であることである。

証明

$(\Longrightarrow)$

$T : V \to W$が同型写像であると仮定する。すると、$T$は可逆であり、可逆線形変換の性質により

$$ \dim (V) = \dim (W) $$

$(\Longleftarrow)$

$\dim (V) = \dim (W)$と仮定する。$\beta = \left\{ \mathbf{v}_{1}, \dots, \mathbf{v}_{n} \right\}, \gamma = \left\{ \mathbf{w}_{1}, \dots, \mathbf{w}_{n} \right\}$をそれぞれ$V, W$の基底とする。すると、有限次元ベクトル空間の間には次のような線形変換が存在する。

$$ T : V \to W \quad \text{ by } \quad T(\mathbf{v}_{i}) = \mathbf{w}_{i} $$

また、それならば$T(\beta) = \gamma$が真であり、$T(\beta)$が$R(T)$を生成するので

$$ R(T) = \span (T(\beta)) = \span (\gamma) = W $$

従って、$T$は全射である。すると、$\dim (V) = \dim (W)$と仮定したからには$T$も単射である。 従って、全単射関数$T : V \to W$が存在し、$V$と$W$は同型である。


  1. Stephen H. Friedberg, Linear Algebra (4th Edition, 2002), p102-103 ↩︎