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光音響断層撮影の原理 📂トモグラフィ

光音響断層撮影の原理

光音響効果

PAE.gif

光音響効果photoacoustic/optoacoustic effectは、1880年に電話の最初の発明者と誤って知られている1アレクサンダー・グラハム・ベルによって発見された2物理現象です。物質が光(電磁波)を浴びると、それを吸収して温度が上がり、熱膨張します。放射radiationが終わると、物質は再び熱を失い、収縮します。物質の膨張と収縮によって圧力変化が生じ、これにより音波acoustic waveが放出されます。これを光音響効果といいます。

光音響断層撮影

PAT.gif

光音響断層撮影PhotoAcoustic Tomography, PATは、光音響効果を利用して行う非破壊検査を意味します。原理は次のとおりです。

  1. 注目する対象objectに光を当てる。
  2. 光音響効果により、物体は音波を放出し、物体の周りに置かれたディテクターでは、これらの音波を計測する。
  3. 一連のアルゴリズムで、計測された信号から対象の内部写真を再構成reconstructionする。

数学的モデル

前提: 音波の速さが一定

音波とは、圧力変化が媒質を通じて伝わることをいいます。光音響効果によって発生した初期圧力initial pressureを$f(x)$とします。

$$ \begin{equation} \begin{aligned} \partial_{t}^{2} p(x,t) =&\ \Delta p(x,t) & (x, t) \in \mathbb{R}^{n} \times [0, \infty) \\ p(x,0) =&\ f(x) \\ \partial_{t}p(x,0) =&\ 0 \end{aligned} \end{equation} $$

ディテクターが存在する領域を$\Omega$とします。すると、ディテクターで測定された音波は、初期値$f$が与えられた時に、波動方程式初期値問題の解のディテクター空間へのリストリクション$p|_{\Omega}$です。初期値$f$が提供されるたびに解$p|_{\Omega}$が決定されるため、このマッピングを波動前方演算子wave forward operator$\mathcal{W}$と定義しましょう。

$$ \begin{align*} \mathcal{W} : f &\mapsto p|_{\Omega}, & p \text{ is solution of } (1) \\ \mathcal{W}f &= p|_{\Omega} \end{align*} $$

そうすると、PATでは、与えられたデータ$\mathcal{W}f$から$f$を再構成すること、すなわち$\mathcal{W}^{-1}$を見つけることが目標です。