微分可能多様体のコンパクトな表面
定義1
$\overline{B}_{r} = \left\{ p \in \mathbb{R}^{3} : \left| p \right| \le r \right\}$としよう。曲面$M \subset \mathbb{R}^{3}$について、次を満たす$r$が存在するなら、$M$を有界と言う。 $$ M \subset \overline{B}_{r} $$
$M$上の全ての点の数列$\left\{ p_{n} \right\}$が以下の式を満たすなら、つまり$M$上の点$p$に収束するなら、$M$を閉じていると言う。
$$ \exist \lim\limits_{n \to \infty}p_{n} = p,\quad p \in M $$
- 曲面$M$が有界で、閉じているなら、コンパクトと言う。
説明
上の定義は$\mathbb{R}$で定義された有界、閉じている、コンパクトを、曲面上で再定義したに過ぎない。
補題
$M$をコンパクトな曲面、$r = \min \left\{r | M \subset \overline{B_{r}}\right\}$としよう。すると$\left| p \right| = r$なる$p \in M$が存在する。つまり、
$$ \exists p \in M \text{ such that } \left| p \right| = r \quad \text{and} \quad M\cap S_{r} \ne \varnothing $$
ここで、$S_{r}$は半径が$r$の球である。
証明
$n \gt 0$について、$r_{n} = r - \dfrac{1}{n}$としよう。すると、
$$ M - \overline{B_{r_{n}}} \ne \varnothing $$
今、$p_{j} \in M - \overline{B_{r_{j}}}$としよう。すると、$M$が有界であり、$p_{j} \in M$であるから、ある点$p \in \mathbb{R}^{3}$に収束する部分数列が存在する。
$$ \exists \text{subsequnce } \left\{ p_{n_{j}} \right\} \text{ such that } \lim\limits_{j\to \infty} p_{n_{j}} = p \in \mathbb{R}^{3} $$
$M$が閉じているため、
$$ p \in M,\quad \left| p \right| = r $$
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定理
$M$をコンパクトな曲面としよう。すると、ガウス曲率が正の点$p$が存在する。
$$ \exists p \in M \text{ such that } K(p) \gt 0 $$
証明
補題によると、
$$ r = \min\left\{ r : M \subset \overline{B_{r}}\right\} \implies S_{r} \cap M \ne \varnothing $$
Claim: $K(p) \gt 0$は任意の$p \in S_{r}\cap M$について成り立つ
$p \in S_{r}\cap M$としよう。すると、$S_{r}$と$M$は$p$で同じ単位法線ベクトルを持つ。従って、点$p$での接平面が同じである。
$$ T_{p}S_{r} = T_{p}M $$
今、$\mathbf{X} \in T_{p}S_{r} \cap T_{p}M$としよう。そして、$\Pi$によって$\left\{\mathbf{n}, X\right\}$として生成される平面だとしよう。すると、$\mathbf{X}$方向の$M$の法曲率$\kappa_{n}$は、$\Pi \cap M$の曲率と同じである。しかし、これは$S_{r}$の$p$での法曲率と同じ符号を持つ。従って、$\left| \kappa_{n} \right| \ge \frac{1}{r}$であり、$\kappa_{1}, \kappa_{2}$を主曲率と呼ぶなら、
$$ K = \kappa_{1}\kappa_{2} \ge \dfrac{1}{r^{2}} \gt 0 $$
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Richard S. Millman and George D. Parker, Elements of Differential Geometry (1977), p174 ↩︎