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濃密な部分集合と閉包 📂バナッハ空間

濃密な部分集合と閉包

凝集部分集合

定義1

$W \subset V$をノルム空間$V$の部分集合とする。任意の$\mathbf{v} \in V$と$\epsilon \gt 0$に対して、以下を満たす$\mathbf{w} \in W$が常に存在するならば、$W$を$V$の凝集部分集合dense subsetと言う。

$$ \left\| \mathbf{v} - \mathbf{w} \right\| \le \epsilon $$

説明

もし$W$が$V$の凝集部分空間であれば、$V$内の任意の元は、ある$W$の元によってよく近似されることを意味する。

$\mathbf{v} \in V$で$\epsilon = \dfrac{1}{k} (k \in \N)$とする。$W$が$V$の凝集部分集合であれば、定義により、以下を満たす$\mathbf{w}_{k} \in W$が存在する。

$$ \left\| \mathbf{v} - \mathbf{w}_{k} \right\| \le \dfrac{1}{k} $$

したがって、数列$\left\{ \mathbf{w}_{k} \right\}$は$k \to \infty$の時、$\mathbf{v}$に収束する。

$$ \lim \limits_{k \to \infty} \mathbf{w}_{k} = \mathbf{v} $$

従って、$W$が$V$の凝集部分集合であるということは、$\mathbf{v} \in V$に収束する$W$の数列$\left\{ \mathbf{w}_{k} \right\}$が存在するということと同じである。

クロージャ

定義

$W$をノルム空間$V$の部分集合とする。与えられた$\epsilon \gt 0$に対して、$\left\| \mathbf{v} - \mathbf{w} \right\| \le \epsilon$を満たす$\mathbf{w} \in W$が存在するすべての$\mathbf{v} \in V$の集合を$W$のクロージャと定義し、$\overline{W}$と表記する。

$$ \overline{W} := \left\{ \mathbf{v} \in V | \text{for each } \epsilon \gt 0, \exist \mathbf{w} \in W \text{s.t. } \left\| \mathbf{v} - \mathbf{w} \right\| \le \epsilon\right\} $$

説明

凝集部分集合の定義とは反対に定義されたことが分かる。すべての$\mathbf{w}\in W\subset V$は$\left\| \mathbf{w} - \mathbf{w} \right\| \le 0$を満たすため、自然と$W \subset \overline{W}$が成立する。

定理

$W$をノルム空間$V$の部分集合とする。それから、$W$が$V$で凝集していることは$\overline{W} = V$であることと同値である。

証明

凝集部分集合とクロージャの定義から自明である。


  1. Ole Christensen, Functions, Spaces, and Expansions: Mathematical Tools in Physics and Engineering (2010), p35-36 ↩︎