L∞空間
定義1
$\Omega \subset \mathbb{R}^{n}$を開集合と呼ぼう。$\Omega$上の可測関数 $u$に対して、以下の条件を満たす定数$K$が存在する場合、$u$は$\Omega$上で本質的に有界essentially boundedと言われる。
$$ \left| u(x) \right| \le K \text{ a.e. on } \Omega $$
ここで、$\text{a.e.}$はほとんど至る所でを意味する。
そのような$K$の上限を$\left| u \right|$の本質的上限essential supremumと言い、以下のように表示する。
$$ \underset{x\in \Omega}{\text{ess sup}}\left| u(x) \right| := \inf \left\{ K : \left| u(x) \right| \le K \text{ a.e. on } \Omega \right\} $$
$\Omega$上で本質的に有界なすべての関数$u$の集合を$L^{\infty}(\Omega)$と定義する。
$$ L^{\infty}(\Omega) := \left\{ u : u \text{ is essentially bounded on } \Omega \right\} $$
説明
$L^{\infty}$空間はLインフィニティー空間と読む。
‘ほとんど至る所で有界’という言葉は’正直に言って有界だ’、‘率直に言って有界だ’と同じで、‘本質的に有界’と言っても問題ない。特に$L^{p}$空間では、積分に関して話すため、ほとんど至る所で有界なら文字通り本質的に有界である。
一方$L^{\infty}$空間はノルム空間になり、定義された本質的上限をそのまま使って良い。
$$ \left\| u \right\|_{\infty} = \underset{x\in \Omega}{\text{ess sup}}\left| u(x) \right|, \quad u \in L^{\infty}(\Omega) $$
これが実際にノルムであることを確かめるのは難しくない。重要な事実は、表記法から推測できるように、これが実際に$\left\| u \right\|_{p}$の極限と同じであることである。$p \lt \infty$に対して$u \in L^{\infty} \cap L^{p}$なら
$$ \left\| u \right\|_{\infty} = \lim \limits_{p \to \infty} \left\| u \right\|_{p} $$
また$1 \lt p, p^{\prime} \lt \infty$で成立したヘルダーの不等式とその系が$p = 1, p^{\prime} = \infty$と$p = \infty, p^{\prime} = 1$に対しても拡張される。
ヘルダーの不等式
以下の式を満たす二つの定数$1 \le p \le \infty, 1 \le p^{\prime} \le \infty$が与えられたとする。
$$ \dfrac{1}{p}+\dfrac{1}{p^{\prime}} = 1 \left(\text{or } p^{\prime} = \frac{p}{p-1} \right) $$
もし$u \in L^p(\Omega)$, $v\in L^{p^{\prime}}(\Omega)$なら$uv \in L^1(\Omega)$であり、下記の不等式が成立する。
$$ \| uv \|_{1} = \int_{\Omega} |u(x)v(x)| dx \le \| u \|_{p} \| v \|_{p^{\prime}} $$
Robert A. Adams and John J. F. Foutnier, Sobolev Space (2nd Edition, 2003), p27 ↩︎