留数定理の証明
定理 1
解析的な関数$f: A \subset \mathbb{C} \to \mathbb{C}$が単純閉曲線$\mathscr{C}$の内部に有限個の特異点$z_{1} , z_{2} , \cdots , z_{m}$を持つとしよう。すると $$ \int_{\mathscr{C}} f(z) dz = 2 \pi i \sum_{k=1}^{m} \text{Res}_{z_{k}} f(z) $$
説明
初めて読むと、この上なく曖昧模糊とした定理である。積分値を求めなければならないのに、微積分学らしい計算はなく、なぜか特異点と留数の話をしているのだから無理もない。定理だけ見ると、留数を求めて足すだけで積分値を見つけられるという意味のようだが、果たしてそうなるのだろうか。常識的に考えて、そんなに簡単で便利な定理があるのだろうか。答えは「ある」で、まさに留数定理がそのような定理である。
積分計算を別の計算に置き換えてくれるだけで、できなかった数多くの積分が可能になる。実数ではできなかったいくつかの積分も、留数定理を応用すれば比較的簡単に解けてしまう。複素解析において重要な定理は本当に多いが、その中でも特に有用な結果を多く与えるため、必ず知っておかなければならない。
証明
まず$\mathscr{C}$を$m$個に分割して考えてみよう。
分割について一般化された収縮補助定理: 単純閉曲線$\mathscr{C}$を含む単純連結領域において、$f: A \subseteq \mathbb{C} \to \mathbb{C}$が$\mathscr{C}$の内部で有限個の点$z_{1} , z_{2}, \cdots z_{m}$を除くすべての点で解析的であるとしよう。すると$\mathscr{C}$の内部で$z_{k}$を中心とする円$\mathscr{C_k}$について、 $$ \int_{\mathscr{C}} f(z) dz = \sum_{k=1}^{m} \int_{\mathscr{C}_{k}} f(z) dz $$
各$\mathscr{C}_{k}$で$f(z)$をローラン展開すると $$ \int_{\mathscr{C}_{k}} f(z) dz = \int_{\mathscr{C}_{k}} \sum_{n = 0 }^{\infty} a_{nk} (z-z_{k}) ^{n} dz + \int_{\mathscr{C}_{k}} \sum_{n = 1 }^{\infty} { {b_{nk} } \over{ (z-z_{k}) ^{n} } } dz $$ コーシーの定理により $$ \int_{\mathscr{C}_{k}} f(z) dz = \int_{\mathscr{C}_{k}} \sum_{n = 1 }^{\infty} { {b_{nk} } \over{ (z-z_{k}) ^{n} } } dz $$ 一方コーシーの積分公式により$\int_{\mathscr{C}_{k}} {{1} \over {(z - z_{k})^n}} dz = \begin{cases} 2 \pi i & n = 1 \\ 0 & n \ge 2 \end{cases}$であるから $$ \int_{\mathscr{C}_{k}} f(z) dz = 2 \pi i b_{1k} = 2 \pi i \text{Res}_{z_{k}} f(z) $$ したがって $$ \int_{\mathscr{C}} f(z) dz = 2 \pi i \sum_{k=1}^{m} \text{Res}_{z_{k}} f(z) $$
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注意
証明において特に注目すべき点は、$n=1$のとき$\displaystyle {{1} \over {z - z_{k}}}$の係数、すなわち留数$b_1k$を除いてすべてが$0$になって消えるという事実である。留数定理があまりに有用なため、応用ばかり勉強していると、いつの間にかなぜそのような結果が出るのかさえ思い浮かばないときがある。そのようなとき、コーシーの積分公式とローラン展開の形を思い浮かべることができれば、十分に密度のある勉強をしたと言えるだろう。
Osborne (1999). Complex variables and their applications: p153. ↩︎
