logo

すべてのn次元実ベクトル空間はR^nと同型である 📂線形代数

すべてのn次元実ベクトル空間はR^nと同型である

定義1

$V$と$W$をベクトル空間と言う。可逆(全単射)線形変換 $T : V \to W$が存在する場合、$V$と$W$は同型と言われる。$T$を同型写像という。

定理

すべての$n$次元実ベクトル空間は$\mathbb{R}^{n}$と同型である。

説明

定理を別の方法で表現すると、次のようになる。

「$\mathbb{R}$ベクトル空間$V$が$\mathbb{R}^{n}$と同型であること」は「$\dim{V}=n$であること」と同値である。

証明2

$V$を$n$次元実ベクトル空間としよう。以下を満たす一対一かつ上への線形変換$T$が存在することを示せば、証明が完了する。

$$ T : V \to \mathbb{R}^{n} $$


$S = \left\{ \mathbf{v}_{1}, \mathbf{v}_{2}, \dots, \mathbf{v}_{n} \right\}$を$V$の基底としよう。すると、すべての$\mathbf{v} \in V$に対して、次のような基底の線形組み合わせの一意的な表現が存在する。

$$ \mathbf{v} = k_{1}\mathbf{v}_{1} + k_{2}\mathbf{v}_{2} + \cdots + k_{n}\mathbf{v}_{n},\quad k_{i}\in \mathbb{R} $$

それでは、変換$T$を次のように定義しよう。

$$ T(\mathbf{v}) = (k_{1}, k_{2}, \dots, k_{n}) $$

  • Part 1. $T$は線形である

    $\mathbf{v}, \mathbf{u} \in V$が次のように表されるとしよう。

    $$ \begin{equation} \mathbf{v}=k_{1}\mathbf{v}_{1} + k_{2}\mathbf{v}_{2} + \cdots + k_{n}\mathbf{v}_{n} \quad \text{and} \quad \mathbf{u}=d_{1}\mathbf{v}_{1} + d_{2}\mathbf{v}_{2} + \cdots + d_{n}\mathbf{v}_{n} \end{equation} $$

    そして、それを$c\in \mathbb{R}$と呼ぼう。そのため、次により$T$は線形である。

    $$ \begin{align*} T(\mathbf{v} + c\mathbf{u}) &= T\left( (k_{1}+ cd_{1})\mathbf{v}_{1} + (k_{2}+cd_{2})\mathbf{v}_{2} + \cdots + (k_{n}+cd_{n})\mathbf{v}_{n} \right) \\ &= \left( k_{1}+ cd_{1}, k_{2}+cd_{2}, \dots, k_{n}+cd_{n}\right) \\ &= \left( k_{1}, k_{2}, \dots, k_{n}\right) + c\left(d_{1}, d_{2}, \dots, d_{n}\right) \\ &= T(\mathbf{v}) + cT(\mathbf{u}) \end{align*} $$

  • Part 2. $T$は一対一である。

    もし$\mathbf{v}, \mathbf{u}$が$(1)$を満たし、それを$\mathbf{v} \ne \mathbf{u}$と呼ぼう。すると、少なくとも一つの$i$に対して、$k_{i}\ne d_{i}$でなければならない。したがって、

    $$ \left( k_{1}, k_{2}, \dots, k_{n}\right) = T(\mathbf{v}) \ne T(\mathbf{u}) = \left(d_{1}, d_{2}, \dots, d_{n}\right) $$

  • Part 3. $T$は上へのものである

    それを$\mathbf{x} = (x_{1}, x_{2}, \dots, x_{n})\in \mathbb{R}^{n}$と呼ぼう。すると、$V$は$\mathbf{v}_{i}$の全ての線形組み合わせの集合であるため、次を満たす$\mathbf{v} \in V$が存在する。

    $$ \mathbf{v} = x_{1}\mathbf{v}_{1} + x_{2}\mathbf{v}_{2} + \cdots + x_{n}\mathbf{v}_{n} $$

    したがって、すべての$T$は上へのものである。

同じく見る


  1. Stephen H. Friedberg, Linear Algebra (4th Edition, 2002), p102 ↩︎

  2. Howard Anton, Elementary Linear Algebra: Aplications Version (12th Edition, 2019), p471-473 ↩︎