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線形変換の階数、零空間の次元、次元定理 📂線形代数

線形変換の階数、零空間の次元、次元定理

定義1

$T : V \to W$を線形変換とする。

  • $T$の値域 $R(T)$が有限次元ならば、$R(T)$の次元を**$T$のランク**rankといい、次のように示す。

    $$ \mathrm{rank}(T) := \dim (R(T)) $$

  • $T$の零空間 $N(T)$が有限次元ならば、$N(T)$の次元を**$T$の零次元数**nullityといい、次のように示す。

    $$ \mathrm{nullity}(T) := \dim\left( N(T) \right) $$

説明

これは行列のランク, 零次元数の概念を一般化したものだ。実際に$V, W$が有限次元ならば$T$は実質的に行列であり、$N(T)$は$T$を表す行列$M_{T}$の零空間である。行列の零次元数は零空間の次元だから、次が成立する。

$$ \mathrm{nullity}(T) = \dim\left( N(T) \right) = \dim (\mathcal{N}(M_{T})) $$

行列の次元定理を線形変換に対して一般化すると、次の定理が得られる。

定理

$T : V \to W$が線形変換であり、$V$が有限次元ならば、次が成立する。

$$ \mathrm{rank}(T) + \mathrm{nullity}(T) = \dim (V) $$


  1. Howard Anton, Elementary Linear Algebra: Aplications Version (12th Edition, 2019), p455-456 ↩︎