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量子力学における波動関数の縮退とは? 📂量子力学

量子力学における波動関数の縮退とは?

定義

量子力学では、縮退degeneracyとは、異なる(=線形独立な)二つの波動関数が同じ固有値を持つことを意味する。

説明

簡単に言えば、二つの波動関数が縮退しているということは、その二つの波動関数のエネルギーが等しいということだ。数式的に言えば、固有値の幾何的重複度が2以上ということだ。

グリフィスの教科書では、重なり、重なった状態と呼ばれている。訳者によれば、1995年韓国物理学会発刊の用語集で「重なり」という言葉が使われる以前は「縮退」と呼ばれていたそうだ。しかし「重なった状態」と呼ぶのは一度も見たことがないし、「重なり」という言葉は日常用語と重複して検索などに便利でないので、「縮退」を使う方が良いと思う。

任意の演算子AAの二つの固有関数をψ1\psi_{1}ψ2\psi_2、固有値をaaとしよう。ψ1\psi_{1}ψ2\psi_2が縮退しているという言葉を数式で表現すると以下の通りだ。

Aψ1=aψ1 A\psi_{1}=a\psi_{1}

Aψ2=aψ2 A\psi_2=a\psi_2

ここで演算子AAがエネルギー演算子であるハミルトニアンHHであるならば、二つの波動関数のエネルギー(固有値)が同じであり、エネルギーだけでは二つの波動関数(固有関数)を区別できないという意味だ。人で例えるなら、キム・チョルスという二人の人物を名前だけで区別できないのと同じだ。

二つの波動関数ψ1=eikx\psi_{1}=e^{ikx}ψ2=eikx\psi_2=e^{-ikx}について固有値方程式を解くと、

Hψ1=E1ψ1=22m2x2eikx=22m(ik)2eikx=2k22mψ1 \begin{align*} H\psi_{1} &= E_{1}\psi_{1} \\ &= -\frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial ^2}{\partial x^2} e^{ikx} \\ &= -\frac{\hbar^2}{2m}(ik)^2 e^{ikx} \\ &= \frac{\hbar^2 k^2}{2m}\psi_{1} \end{align*}

Hψ2=E2ψ2=22m2x2eikx=22m(ik)2eikx=2k22mψ2 \begin{align*} H\psi_2 &= E_2\psi_2 \\ &= -\dfrac{\hbar^2}{2m}\dfrac{\partial ^2}{\partial x^2} e^{-ikx} \\ &= -\frac{\hbar^2}{2m}(-ik)^2 e^{ikx} \\ &= \frac{\hbar^2 k^2}{2m}\psi_2 \end{align*}

二つの波動関数のエネルギーは同じなので縮退している。従って、固有値方程式を解くだけでは二つの波動関数を区別することはできない。

E1=2k22m=E2 E_{1}=\dfrac{\hbar^2 k^2}{2m}=E_2