ハイゼンベルクの不確定性原理の証明
📂量子力学ハイゼンベルクの不確定性原理の証明
定理
二つの演算子 AとBについて、次が成り立つ。
σA2σB2≥(2i1⟨[A,B]⟩)2
この時、σA2はAの分散、[A,B]はAとBの交換子だ。
説明
上記の定理から、交換できない二つの演算子に対する物理量は同時に正確に観測することができないという事実が分かる。物理量Bが正確に観測されるというのは、σB2の値が減るということだけど、[A,B]=0なら不等式の左辺に最小値が定められていて、これはσB2が減ると同時にσA2の値が増えること意味する。だから、Bの物理量を正確に測定すればするほど、Aの物理量はより不確かになる。
位置と運動量の関係
証明
σA2は定義により次のようになる。
σA2=⟨ψ∣(A−⟨A⟩)2∣ψ⟩=⟨(A−⟨A⟩)ψ∣(A−⟨A⟩)ψ⟩
便宜のため、f=(A−⟨A⟩)ψとしよう。
σA2=⟨f∣f⟩
同様にg=(B−⟨B⟩)ψとすると、
σB2=⟨g∣g⟩
コーシー-シュワルツの不等式により次を得る。
σA2σB2=⟨f∣f⟩⟨g∣g⟩≥∣⟨f∣g⟩∣2
また、任意の複素数zに対して次が成り立つ。
∣z∣2=ℜz2+ℑz2≤ℑz2=(2i1(z−z∗))2
最後の等式はz=x+iyとし、直接計算してみると簡単に分かる。以上の二つの不等式から次を得る。
σA2σB2≥∣⟨f∣g⟩∣2≥(2i1(⟨f∣g⟩−⟨g∣f⟩))2(1)
さて、⟨f∣g⟩を計算しよう。
⟨f∣g⟩=⟨(A−⟨A⟩)ψ∣(B−⟨B⟩)∣ψ⟩=⟨ψ∣(A−⟨A⟩)(B−⟨B⟩)∣ψ⟩=⟨ψ∣AB−A⟨B⟩−⟨A⟩B+⟨A⟩⟨B⟩∣ψ⟩=⟨ψ∣AB∣ψ⟩−⟨B⟩⟨ψ∣A∣ψ⟩−⟨A⟩⟨ψ∣B∣ψ⟩+⟨A⟩⟨B⟩⟨ψ∣ψ⟩=⟨AB⟩−⟨B⟩⟨A⟩−⟨A⟩⟨B⟩+⟨A⟩⟨B⟩=⟨AB⟩−⟨A⟩⟨B⟩
同様に⟨g∣f⟩=⟨BA⟩−⟨A⟩⟨B⟩が成り立つ。したがって次を得る。
⟨f∣g⟩−⟨g∣f⟩=(⟨AB⟩−⟨A⟩⟨B⟩)−(⟨BA⟩−⟨A⟩⟨B⟩)=⟨AB⟩−⟨BA⟩=⟨AB−BA⟩=⟨[A,B]⟩
上の式で3番目の等号が成り立つ理由は、期待値が線形だからだ。この結果を(1)に代入すると次を得る。
σA2σB2≥(2i1⟨[A,B]⟩)2
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参考文献