エルミート行列
定義
を正方の複素数行列とする。が下の式を満たせば、エルミート行列Hermitianまたは自己共役行列self-adjoint matrixという。
ここで、はの共役転置である。が下の式を満たせば、反エルミート行列skew-Hermitian, anti-Hermitianという。
説明
実数行列なら、なので対称行列ならエルミート行列だ。次の性質から分かるように、エルミート行列の対角成分は必ず実数だ。だから、行列のサイズが小さいなら、目で見てエルミート行列かどうか簡単に判断できる。
エルミート行列の対角成分が必ず実数であるのと同じ理由で、反エルミート行列の対角成分は全部だ。
性質
をエルミート行列とする。
(a) の対角成分は必ず実数だ。
(b) の固有値は全部実数だ。
(c) の異なる固有値を持つ固有ベクトルは互いに直交する。
(b) 量子力学の観点から言えば、「エルミート演算子の期待値は常に実数だ」となる。
証明
(a)
行列の転置は、の成分を主対角線を基準にして対称移動させたものだ。だから、二つの行列の対角成分は常に同じだ。これはすなわちを意味し、対角成分は実数だ。
■