指数分布とポアソン分布の関係
定理
事件が起こるまでにかかる時間$X_{k}$について$X_{k} \sim \exp (\lambda)$であれば、単位時間当たりに発生する事件の回数$N$について$\displaystyle N \sim \text{Poi} (\lambda)$
説明
指数分布とポアソン分布の直観的な定義を考えてみよう。指数分布はある事件が発生するまでにかかる時間に関心があり、ポアソン分布は単位時間内にある事件が何回発生するかに関心がある。ある事件が起こる時間と事件が起こる回数について、二つの分布は一方を固定してもう一方に関心を持つのである。たとえば$\exp (\lambda)$と$\text{Poi}(\lambda)$の母数を$\lambda = 1$と考えてみよう。指数分布を見たときは事件が起こるまでに単位時間がかかるのであり、ポアソン分布を見たときは単位時間当たり事件が一度起こると見ることができる。
ここでポアソン分布の$\lambda$が大きくなれば単位時間当たりの事件の発生回数が大きくなるのであり、その分事件一度が起こる時間は短くなるだろう。この意味で、指数分布の平均$\displaystyle {{1} \over {\lambda}}$とポアソン分布の平均$\lambda$は母数を表記する記号$\lambda$を共有することが妥当であると見ることができる。多くの教材で両者の母数をよりによって$\lambda$と表記するが、その理由をこのように考えてみれば受け入れやすいだろう。
数式的には、ガンマ分布と指数分布が関係を持っており、ガンマ分布がポアソン分布の関係を持っているので、指数分布とポアソン分布も何らかの関係があることを難なく推測できるだろう。
証明
ガンマ分布と指数分布の関係により $$ X_{i} \sim \exp (\lambda) \iff X_{i} \sim \Gamma (1, {{1} \over {\lambda}} ) $$ ガンマ分布に従う$k$個の確率変数をすべて足すと $$ Y_{k} = \sum_{i=1}^{k} X_{i} \sim \Gamma (n, {{1} \over {\lambda}} ) $$ 指数分布は無記憶性を持っているので$Y_{i}$と$Y_{j}$は独立であり、$Y_{k}$は単純に$k$番目の事件が起こった時刻を表すことがわかる。一方、$\displaystyle Y_{k}$の累積確率分布関数を$F_{k}$とすると $$ F_{k}(1) = 1 - \int_{1}^{\infty} { {1} \over {\Gamma (k) {{1} \over {\lambda ^ k}} }} x^{k-1} e^{-\lambda x} dx $$ 整理すると $$ F_{k}(1) = 1 - \int_{1}^{\infty} { { \lambda^{k} } \over {\Gamma (k) }} x^{k-1} e^{-\lambda x} dx $$ $\lambda x = z$と置換すると$\lambda dx = dz$なので $$ F_{k}(1) = 1 - \int_{\lambda}^{\infty} { { z^{k-1} e^{- z } } \over {\Gamma (k) }} dz $$ ガンマ分布とポアソン分布の関係により $$ F_{k}(1) = 1 - \int_{\lambda}^{\infty} { { z^{k-1} e^{-z} } \over { \Gamma (k) } } dz = 1 - \sum_{y=0}^{k-1} { { {\lambda}^{y} e^{-\lambda} } \over {y!} } $$ $Y_{k}$は$k$番目の事件が起こった時刻なので、単位時間$1$の間に事件がちょうど$n$回起こる確率は、$Y_{n}$が$1$以下であり$Y_{n+1}$が$1$より大きい確率に等しい。 $$ \begin{align*} P(N = n) =& P( Y_{n} \le 1 \land Y_{n+1}>1 ) \\ =& P( Y_{n} \le 1 ) P ( Y_{n+1}>1 ) \\ =& P( Y_{n} \le 1 ) \left( 1 - P ( Y_{n+1} \le 1 ) \right) \\ =& P( Y_{n} \le 1 ) - P( Y_{n} \le 1 ) P ( Y_{n+1} \le 1 ) \\ =& P( Y_{n} \le 1 ) - P( Y_{n} \le 1 \land Y_{n+1} \le 1 ) \\ =& P( Y_{n} \le 1 ) - P( Y_{n+1} \le 1 ) \\ =& F_{n}(1) - F_{n+1}(1) \\ =& \left( 1 - \sum_{y=0}^{n-1} { { {\lambda}^{y} e^{-\lambda} } \over {y!} } \right) - \left( 1 - \sum_{y=0}^{n} { { {\lambda}^{y} e^{-\lambda} } \over {y!} } \right) \\ =& { { {\lambda}^{n} e^{-\lambda} } \over {n!} } \end{align*} $$ これは母数が$\lambda$であるポアソン分布の確率質量関数なので、$N \sim \text{Poi} (\lambda)$
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