正規行列の定義
📂行列代数正規行列の定義
定義
正方行列 A∈Cn×n が次を満たすとき、正規行列normal matrixという。
AA∗=A∗A
ここで X∗ は行列 X の共役転置行列である。
性質
A が正方行列であるとする。三角行列 A が正規行列であるための必要十分条件は、A が対角行列であることである:
AA∗=A∗A⟺(A)ij=0,∀i=j
証明
- On は (n×n) サイズの零行列である。下付き添字が省略された場合は、行列の内部のサイズに合わせる。
- zˉ は複素数 z の共役複素数である。
(⟹)
数学的帰納法を用いて証明する。一般性を失わずに、A∈Cn×n が上三角行列の場合だけを考える。
n=1 であれば自明に成立し、n=2 であれば上三角行列
A=[a0bc]
に対して
====O2AA∗−A∗A[a0bc][aˉbˉ0cˉ]−[aˉbˉ0cˉ][a0bc][∣a∣2+∣b∣2cbˉbc∣c∣2]−[∣a∣2abˉaˉb∣b∣2+∣c∣2][∣b∣2bˉ(c−a)b(c−aˉ)−∣b∣2]
であるので b=0 でなければならない。言い換えれば、A は対角行列である。ここで
AA∗=A∗A⟹(A)ij=0,∀i=j
が A∈C(n−1)×(n−1) に対して成り立つと仮定する。二つの行列 B∈R1×(n−1) と C∈C(n−1)×(n−1) を用いてブロック行列で表した
A=[aOBC]
に対して
====OnAA∗−A∗A[aOBC][aˉB∗OC∗]−[aˉB∗OC∗][aOBC][∣a∣2+BB∗CB∗BCCC∗]−[∣a∣2aB∗aˉBB∗B+C∗C][BB∗CB∗−aB∗BC−aˉBCC∗−C∗C−B∗B]
であり、BB∗=∑k=1n−1(B1k)2∈C1×1 が 0 であるということは、B のすべての成分が 0 であるということを意味する。一方、CC∗−C∗C=On−1 もまた成立しなければならないため、C は正規行列であり、したがって C もまた対角行列でなければならない。結論として次のように定義された行列 A は対角行列である。
A=[aOBC]=[aOO∗C]
(⟸)
A が対角行列である場合、k=1,⋯,n に対して次が自明に成立する。
(AA∗)kk=(A)kk2=(A∗A)kk
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