準静的アトラクターの定義
定義 1
$\dot{x} = f \left( x , \lambda (t) \right)$ のような開放系があるとしよう。$\lambda$ が定数であるとき、システム自体を $\lambda$ にパラメータ化された系parametrized systemと呼び、この系の安定な解を準静的アトラクタquasi-static attractorと呼ぶ。
説明
例えば非常に単純な系として $\dot{x} = - \left( x - \lambda \right)$ を眺めると、$x > \lambda$ のときは $x$ が減少し、$x < \lambda$ のときは $x$ が増加するので $x = \lambda$ は安定な固定点になる。これを単に固定点と呼ばず準静的と呼ぶ理由は、$\lambda$ が一つに定まっているときは静的だが、$\lambda = \lambda(t)$ のように時間とともに動くならば $t$ ごとに固定点の位置が変わるためだ。
この性質は安定性を持てば周期軌道はもちろん、より一般的にはアトラクタという概念にも拡張できない理由はない。十分な時間を与えればいくらでも安定な状態に向かうが、ただ時間が流れるにつれてその時々で安定な状態が変わるだけである。
Ashwin, P., Wieczorek, S., Vitolo, R., & Cox, P. (2012). Tipping points in open systems: bifurcation, noise-induced and rate-dependent examples in the climate system. Philosophical Transactions of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences, 370(1962), 1166-1184. https://doi.org/10.1098/rsta.2011.0306 ↩︎
