暗示的微分方程式
定義 1
特に 常微分方程式において、次のように暗黙的implicitに表される 微分方程式を暗黙的常微分方程式という。 $$ f \left( x , \dot{x} \right) = 0 $$
説明
もちろん $\dot{x} = f(x)$ のような微分方程式があれば $g( x , \dot{x} ) = \dot{x} - f(x)$ と表現できるため、通常「暗黙的」という表現に注目するなら、片方の辺にだけ $\dot{x}$ を集められない場合を考える。
数値解析上の難点
暗黙的微分方程式は特に数値解析において RK4 のような ソルバーをそのまま適用できない点で、一般的な常微分方程式と区別される。例えば $\dot{x} = \sin \dot{x}$ のような方程式は左辺に現れる $\dot{x}$ を計算するために右辺の $\dot{x}$ を先に計算しなければならないという困難が生じる。
ちなみに暗黙的微分方程式を解くことと暗黙的メソッドを使うことは無関係だ。例えば 暗黙的オイラー法 を考えると $\dot{y} = f(y)$ を解くために $y_{n+1} = y_{n} + h f(y_{n+1})$ のような更新ルールを使うが、ここで「暗黙的」というのは $y_{n+1}$ を求めるために右辺の $f(y_{n+1})$ が先に計算される必要があるという意味に過ぎない。暗黙的常微分方程式が与えられた場合、結局 $\dot{y} = f(y)$ から $f$ を正確に特定できないため従来のソルバーを使えないという点は同じだ。
結果として暗黙的微分方程式は 微分代数方程式differential algebraic equation、すなわち $f \left( x , \dot{x} \right) = 0$ を制約条件として与えて解くことになる。
Kaheman, K., Kutz, J. N., & Brunton, S. L. (2020). SINDy-PI: a robust algorithm for parallel implicit sparse identification of nonlinear dynamics. Proceedings of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences, 476(2242). https://doi.org/10.1098/rspa.2020.0279 ↩︎
